2019.08.19
# 中国

大混乱の香港を国際社会は救わない…いま世界が陥る「深刻な危機」

嫌でも武力鎮圧から逃げられない習近平
津上 俊哉 プロフィール

米国の指導力は過去のもの

話を「米国の介入」に戻したい。実のところ、米国の対外政策は気まぐれで無責任な内政干渉を繰り返してきた歴史ではなかったか。

味方、支援者のような顔をして介入するが、やがては見捨てて現地人の心に大きなルサンチマンを遺していく……中東ではアフガンを巡る米ソの対立の中で、米国のそんな所業がオサマ・ビンラディンのような祟りまで生んだ。

 

先日訪日した米国の某アジア専門家は「香港のデモ運動の先鋭化を非常に憂慮している。彼らを助けるために、いまの米国が中国と対決のリスクを冒すことはないからだ」とはっきり述べていた。トランプ大統領の言動を見ていると「そりゃそうだろう」と思える。

「自由と民主主義を信奉し世界に布教する」という米国の使命感は、「普遍的価値観の守護者」(平たく言えば「世界のお巡りさん」)「米国は世界に2つとない特別な国」という米国独特のアイデンティティと表裏一体に育まれてきたものだろう。

しかし、米国の力が相対的に衰えれば衰えるほど、もっと直截に言えば、米中の力の差が縮まれば縮まるほど、米国は「特別な国」ではなくなり、その布教行為も「内政干渉」に近づくとは言えないか。

先に、米領事館員がジョシュア・ウォン氏に接触したことに触れたが、領事館員はウォン氏に何を語ったのかに興味がある。

「応援するから頑張って」と語ったかもしれないが、彼女はその言にどこまで責任を負えるのか。「また見捨てた」結果にはしないと保証できるのか。

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