2019.08.19
# 中国

大混乱の香港を国際社会は救わない…いま世界が陥る「深刻な危機」

嫌でも武力鎮圧から逃げられない習近平
津上 俊哉 プロフィール

「米国の陰謀」を巡る非対称な状況

それは、中国政府も中国人も「抗議運動の背後には外国勢力(米国)の煽動がある」と確信していることだ。

中国では、香港の民主派グループが「全米民主主義基金(The National Endowment for Democracy、「民間非営利」団体とされながらも、実際は米国議会から年々の出捐を得て「他国の民主化を支援する」ことを目的に資金援助をしている団体)から資金援助を受け取っていることや、米国の駐香港領事館員が2014年雨傘革命当時の学生リーダーだったジョシュア・ウォン氏に会いに行ったことなどが、米国の陰謀の動かぬ証拠とされているのだ。

ここに大きな「非対称」が生まれている。

中国から見れば、これは陰謀、内政干渉であり、いまや米中対立が経済問題を超えて重大な政治問題に発展したと見える。

 

しかし、トランプは抗議運動を「暴動(riot)」と呼び、「北京と香港政府でうまく解決して欲しい」といったツイートを連発する有様で、香港の自由や民主には関心がないのだ(米国では、天安門事件を想起して中国が強硬手段に出るのを警戒、牽制する声が高まっているが、トランプは14日も「習主席が抗議する人々と個人的に直接会えばハッピーエンディングになるだろう」と他人事のようなツイート、ロス商務長官は「中国の内政問題だ」と発言している

しかし、「米国の陰謀論は中国の被害妄想だ」とも決めつけ難い。トランプにその気が無くても、米国には「その気のある」人々がいそうだからだ。

米国は、ときに「2つの政府がある」ように見えることがある。いまの米中対立でも、トランプが進める貿易戦争とは別個独立に、対中タカ派がハイテク冷戦を進めている。香港問題でも、この「米国に2つの政府」状況が生まれている可能性はある。

単純に自由と民主主義を信奉し布教したい人々もいれば、中国をやっつけるために香港の若者をダシに使おうというワルもいるだろう。

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