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言い方を間違えれば即炎上…令和時代に必要な「ナラティブ」の力

「企業コミュニケーション」のコツ
本田 哲也 プロフィール

アクセンチュアでは、ナラティブをまずは以下の5つのパートに構成し直した。

この事業を説明するにあたっては、どうしても「これまで何をやってきたか」「今何をやっているか」にフォーカスしてしまい、主観的な説明に陥りがちだった。

 

より広く伝えるためには、その前後を客観的な視点から補完しなければならない。

1、将来視点:会津から始まる日本の未来
2、大局視点:世界で本格化するスマートシティ構想
3、差別化:市民オリエンテッド vs 企業オリエンテッド
4、具体的内容:スマート市民と会津若松プラスの現状
5、今後の展望:「スマート市民プラットフォーム」

1.将来視点、2.大局視点、3、差別化、4.具体的内容、5.今後の展望、という5つの視点はアクセンチュアの場合に限らず、何かを伝えようとする場合に役に立つ。

アクセンチュアの場合は、より知名度の高い世界的なスマートシティ構想――シアトルのアマゾンやトロントのグーグル—と比較し、それらが企業の計画ありきの「企業オリエンテッド」なのに対し、アクセンチュアと会津は「市民オリエンテッド」であるという差別化を打ち出した。

同時に、専門的な表現を平たい表現に置き換えていく工夫もなされた。

根元の発想を日本ならではの「三方よし」と説明し、呼び方が曖昧だった登録市民ユーザーを「スマート市民」とし、「アマゾナイズド(アマゾン化)」に引っかけて「アイヅナイズド」と表現するアイデアなどだ。

こうして構築されたナラティブを、解説しながら以下に紹介しよう。

山頂を見ながら登山をする

まず、1.将来視点。

そもそもこのプロジェクトがどのような未来像を描いているのかを紹介する。

目的や「目指すところ」の大まかなイメージになることによって、ナラティブの受け手は、まず頭の中に「到着点」を用意しながら、以降のメッセージを受け取ることができる。

つまり、それ以降に現れるナラティブを読む(聞く)ときに、あたかも山頂の「目印」を見ながら登山をするように、話の筋道を整理しやすい(以下、囲みの中がプロジェクトを紹介するために作成した文章)。

いま、人口およそ12万人の会津若松市から、日本の未来が始まろうとしている。
その未来とは、地域の人々の暮らしがデジタルプラットフォームにより「スマート化」すること。つまり全国民の「スマート市民化」という大きなヴィジョンだ。
日本におけるスマートシティの実現、日本政府が掲げるクラウド・バイデフォルトの実現につながる、小さいけれど大きな一歩である。
それが、会津若松市とアクセンチュアのスマートシティ計画。この4月、アクセンチュアは同市の「福島イノベーションセンター」に200人の高度人材を移籍させる。