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言い方を間違えれば即炎上…令和時代に必要な「ナラティブ」の力

「企業コミュニケーション」のコツ
本田 哲也 プロフィール

ナラティブアプローチの実証や応用は各分野で進んでいる。

一橋大学大学院では、ナラティブアプローチを応用した模擬授業が行われた。一般的な教科書ではなく、マンガを活用するなどして、「学習者を物語に引き込む」授業を行ったところ、受講者全員の理解度が深まったという。

教育にせよ娯楽にせよPRにせよ、相手は生身の人だ。同じ事実であっても、「どう語るか」で結果が大きく変わってくる

 

周知されなかった「スマートシティ事業」

ここでひとつ、企業ナラティブ構築の実例を紹介しよう。コンサルティング大手アクセンチュアが会津若松市で進める、スマートシティ事業だ。

アクセンチュアは、この4月に、会津若松に「アクセンチュア・イノベーションセンター福島」を設立した。

このセンターは、先進デジタル技術の実証実験を推進し、会津地域で培ったスマートシティと地方創生のモデルを全国に向けて発信する役割を担う。

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また、会津若松市にある会津大学は国内唯一のIT専門の単科公立大学であり、多数のベンチャー企業を輩出している。

スタンフォード大学ほどではないが、学園都市のように大学を中心に新しい産業が生まれている。

アクセンチュアは震災後の2011年から、実に8年にわたって会津若松市をサポート。地方創生などの社会的な意義も持つ、骨太な取り組みだ。

しかし、ひとつ課題があった。素晴らしい事業ながら、この取り組みは広く知られていなかったのである。社会やビジネス界に十分に説明できているとは言い難かった。

なぜそうなってしまったのか。

8年もの取り組みの中では膨大な情報が蓄積される。また従事者がのめり込めばのめり込むほど、失われるのが「客観視点」だ。

多くの事業に当てはまることだが、長く真剣に取り組めば取り組むほど、説明は複雑化し、近視眼的になる。こうした理由が考えられる。

そこで必要になるのが、対象を客観的に捉えなおし、「語り口」を練り直すこと。つまり、ナラティブを再構築することだ。