「本物の聖地」化した京アニの舞台…放火事件から1ヵ月後の今を見る

もはやファンだけが集う場所ではない
岡本 健 プロフィール

『ガールズ&パンツァー』の大洗町における取組に至っては、2013年に観光庁の表彰事業において奨励賞を授与されている。そして、前述した通り、『君の名は。』のヒットにより、「聖地巡礼」は2016年の新語・流行語大賞のトップテンに入った。本作によって、聖地巡礼は普段はあまりアニメに関心の無い層にも認知が広がったと考えていいだろう。

こうした流れの中で、京都アニメーション作品が果たした役割は大きい。ただし、一つ注意しておかなければならないのは、京都アニメーションはアニメ制作会社であり、聖地巡礼やコンテンツツーリズムを中心になって奨励してきたわけでは無いことである。あくまで聖地巡礼やコンテンツツーリズムは作品を見たファンの行動や、それらを活用した取り組みであり、複合的な要因でどのような活動になるかが決まる。

 

ここで、『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年)という作品について触れておきたい。本作も盛んに聖地巡礼が行われた作品であったが、異なる文化事象を引き起こした。

本作のエンディングテーマ曲は「ハレ晴レユカイ」というタイトルで、毎回のアニメ本編終了後に流された。これには登場キャラクターたちが音楽に合わせて踊るアニメーションがつけられていた。京都アニメーションが手掛けた「ハルヒダンス」の動きが実に流麗で、これを見たファンは実際に踊ってみて、動画投稿サイトにアップロードした。

現在では、ダンスの動画をネット上にアップすることはそれほど珍しくはない。TikTokなど、それを支援するアプリもある。ただ、当時YouTubeが2005年に開始されたことを考えると、画期的なことであった。