〔PHOTO〕iStock

発達障害がわかった9歳の息子が、教室で自ら診断名を発表できたワケ

「やりにくい」子たちの教育のヒント

我が家を訪れたひとつの節目

筆者はフランス・パリ郊外に在住し、現地小学校に通う9歳と6歳の息子をフランス人の夫とともに育てている。ありがたいことに二人とも健康優良児、喧嘩しつつも仲の良い兄弟で、やんちゃ盛りの毎日を過ごしている。

そんな賑々しい我が家に今年、一つの大きな節目が訪れた。長男に発達障害の一つであるADHD(注意欠陥・多動性障害)と、それに起因するディスグラフィア(書字障害)の診断が確定したのだ。

その診断を学校に伝えた時の経緯をTwitterに書いたところ、3万3000もの「いいね」がつき、閲覧数は270万に上った。

担任の先生の提案の元、クラスメイトに診断結果を伝えた結果、長男にもクラスメイトにもポジティブな効果をもたらしたこと。それが親としてとてもありがたかった、と、個人的な思いを書き留めたツイートだった。

リプライ欄は励ましや共感で埋まり、私は心底嬉しかった。と同時にこれだけの反応を受け、ライターとして「より正確なレポートをするべきではないか」との思いが湧いた。拡散のおかげで発覚した用語のミスもあり、修正してまとめ直したい、とも。

当事者である長男に訊ねたところ、「顔と名前を出さず、一度だけ」と、記事化を許してくれた。夫からも「それが誰かの参考になるなら」と賛同を得られたので、フランスの支援制度の現状を添えて、お伝えしたいと思う。

発達障害の子ども、彼らと生きる家族、そして彼らを導く教育現場の方に、少しでも役に立つことがあればと願いつつ。

 

「経過観察」で過ぎた6年間

「はっきり分かって、良かったよね」

診断を受けた日、夫と長男とそう言い合った。もともと長男が「他の子と違う」のは、長男自身も私たちも知っていたからだ。

集中が不安定で、不器用。感情の起伏が抑えられない――そんな指摘を第三者から最初に受けたのは、3歳で幼稚園に入園した時だった。あるときクラスメイトに暴力をふるってしまい、担任の勧めで小児精神科のカウンセリングを受けたが、診断は「一時的な情緒不安定」で「発達は正常。要経過観察」。

小学校に上がってからも毎年担任からの呼び出しを受け、その度に同じ指摘と「要経過観察」が繰り返された。自治体の発達カウンセリングを受けたり、行動心理士のリラクゼーション・レッスンにも通ったが、結果はいつでも同じだった。