自然に生理も排卵もなかった私が奇跡的な妊娠・出産を経て思うこと

「母になる」とはどういうことか
徳 瑠里香 プロフィール

家族のかたちに正解はない

彼女たちは、自分の心と身体と、どう向き合っているのだろう?
母になるとは? 家族ってなんだろう?

そんな大きな問いが生まれた私は、妊娠中、自分の身近にいる彼女たちに、改めて話を聞いた。

彼女たちはみな、選ばなかったものや選べなかったものに思いを馳せることがあったとしても、迷いながら、選んだものや選ばざるを得なかったものを受け止め、自分の人生と家族のかたちを模索している最中だった。

相手と関係性を育み家族をつくることは、想定外でままならないことの連続だ。それでも、受け入れ、選択を重ねて、自分の家族をつくる彼女たちの物語は、知らず知らずのうちにとらわれていた「普通」や「正しさ」を解きほぐしてくれた。

家族の定義も、関係性の築き方も、そのあり方も、人によって異なる。個人の人生と同じように、家族のかたちも千差万別で、ひとつとして同じものはない。当たり前のことだけれど、10人いれば、10通りの彩り豊かな人生と、家族のかたちがある。

この本では、生まれつき生理と排卵がない私が子どもを授かり、産むことに向き合いながら、家族について考えたことをまとめている。

書かれているのは、私という一人の人間が体験した、あるいは見て聞いて感じた、今を生きる「わたし」たちの断片的な物語。どこにでもいそうな人たちの、ほかのどこにもない人生と家族の話。

話を聞いた人たちは、著名人でもなく、特別に探し出したわけでもなく、私の身近にいる人たちだ。彼女たちはみんな「私の話なんて」と言った。それでも語りだせば、誰もが「特別」な体験と思いを持って、かけがえのない物語のなかを生きている。彼女たちの話に私自身も心を揺さぶられ、考えさせられることが多々あった。

とても個人的な話の連なりで、この本のなかに、先に挙げた大きな問いの答えが書いてあるわけではない。それでもこの本を手に取ってくれたあなたが、「わたし」を主語に、自分の人生や家族について、何かひとつでも考えるきっかけになったらとても嬉しい。