2019.08.31
# 格差

日本人は知らない、いま世界中で広がる「強制労働」の悲しい現実

「対岸の火事」では済まされない
夫馬 賢治 プロフィール

「強制労働」の実態

わが国でも、労働基準法第5条(強制労働の禁止)には、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」とある。

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「今の時代に強制労働が?」と思われるかもしれないが、以下3つの行為を犯すと強制労働とみなさるようになってきている。

まず、外国人労働者パスポートの企業側保管。企業の中には、労働者が勝手にいなくなってしまうことや、時には紛失を防ぐための親心で、外国人労働者のパスポートを、企業側で保管、管理しているところがある。

この行為は、労働者の移動の自由という人権を大きく制限しているため、強制労働とみなされる。

次に、採用コストの求職者側負担。日本国内では、求人広告、人材紹介等を活用して求人を行う場合に、求職者側が採用コストを負担することはないが、外国人労働者の場合は、国元で求職者が多額の費用を仲介エージェントに支払っていることが多い。

今回のNHKの番組で紹介された事例では、ベトナム人労働者はベトナムで約75万円を支払い、日本にやってきていたという。これらコストは、多くの場合、借金という形で求職者が負担し、仕事をしながら返済していることが多い。

こうした状態は、「債務漬け労働者」とみなされ、強制労働扱いとなる。今年4月から開始された日本の特定技能ビザ制度では、仲介エージェントにフィーを払う形での日本での就労がようやく禁止されたが、どこまで遵守されるかわからない。

 

強制労働行為の3つ目は、労働契約条件を相手にわかる言語で提示することである。

日本では、そもそも労働契約条件を提示せずに雇用していることが少なくないが、さらに相手が理解できる言語で提示することが求められている。

例えば、相手がベトナム人であれば、ベトナム語で提示するのがベスト。もし相手が英語を理解できるようであれば、英語でも提示でもOKとなる。

今回の番組の事例では、労働開始前に180時間もの残業、しかも40時間を超える部分はサービス残業であることを相手にわかる言語で伝えていたかが問題となる。果たして「強制労働」に該当する要件はすべてクリアできていたのだろうか。

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