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# 格差

日本人は知らない、いま世界中で広がる「強制労働」の悲しい現実

「対岸の火事」では済まされない

日本で起きたこと

今年6月、NHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ」が衝撃的なニュースを報じた。ベトナム人技能実習生28人が、日本のある生産工場で残業180時間を超える労働を強いられていたという。

しかも窮地に追い込まれた彼女たちが、自分たち自身で動画メールを作成し、外部にSOS発信。それにより事態が発覚した。彼女たちは、刑務所で働かされていると感じ、「死」すら意識していたという。

 

今回の事件は、愛媛県の今治タオルにかかわる工場で起きた。NHKの番組放送後、今治タオル工業組合は「ご報告」を発表、当該企業は組合員ではないものの、組合員などの縫製の下請企業であることを公表した。

今や全国的に有名となった「今治タオル」は、企業名ではなく、タオル生産企業の多く集まる愛媛県今治地方の地域ブランドだ。「今治タオル」ブランドは現在、今治タオル工業組合が管理しており、吸水性、脱毛率、光や洗濯や汗による変退色、引張強さなど多数の厳しい品質基準を満たすものだけが、ブランドの使用を許されている。

今回の騒動は組合とは直接接点のない企業で行われたものではあったが、「組合員等の縫製の下請企業であることから、今治タオルの振興を図る取り組みをしています当組合としましても、社会的責任及び道義的責任があると考えており、この問題を非常に重く受け止めております」として、組合は騒動以降にコンプライアンス強化などの取り組みを始めた。

当該企業で行われていたという残業180時間は、国が設定している過労死ラインの2倍の水準。さらに企業は、残業代を40時間分しか支払っていなかった。寮は3万円で、二段ベッドが並ぶ部屋に多くの実習生が暮らしている。窓はなく、刑務所のような空間だったという。

SOSメールを送ったことで、彼女らは雇用主である社長に激怒されたが、SOSメールを受け取った神戸大学准教授により、保護施設に保護された。しかし、その後も残ったベトナム人実習生の一人は、脳出血で倒れ病院に搬送されたという。取材では、その間の書類は全て破棄されていたことがわかった。