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「東京から移住で100万支援」愛知のビックリ政策に効果はあるのか

リニアが原因とされがちだけど…

愛知県は今年の6月18日に、東京23区から移住ないしは就職した人に最大で1世帯につき100万円、単身の場合1人につき60万円を支給する「愛知県移住支援事業」を発表した。

その背景には、2027年にリニア中央新幹線が開業することで、東京の品川駅と名古屋駅が約40分で結ばれることがある、とマスコミでは報じられるケースが多い。しかし、本当にリニアが問題なのだろうか。そして、この政策にはどれほどの効果があると考えられるのだろうか。

 

リニア新幹線開通という要因

新幹線の開通は、それによって利便性を向上させ、産業活性化による新規産業の創生、さらには人口流失を食い止める切り札として多くの地方が切望してきたものである。

ところが、いざ、地方都市から大都市への接続がなされてみると、実は地方都市の機能や人口が大都市に吸いとられるストロー効果が発生することが明らかになったのである。しかも、それは地方都市と大都市の関係だけでなく、大都市と大都市の間でも発生することになった。

1964年の東京オリンピック開催の10日前、10月1日に大阪と東京が3時間10分(現在は2時間30分)で結ばれた。これによって、東京に本社を持つ企業が大阪に支店を持つという既存の形態に新たな変化が現れる。新幹線のおかげで朝早く東京を出れば、大阪での仕事を終えて夜には東京に戻れるようになったのである。

東海道新幹線は1964年に開通した〔PHOTO〕Gettyimages

もちろん大阪に本社を置く大企業もあるが、本社を東京に置く大企業が圧倒的に多い。それゆえに大阪は支店経済が主流である。しかし、日帰りで業務が遂行できるのであればわざわざ支店を置かなくてもよいことになる。結果として、支店経済を主体としていた大阪の経済は力を失い始めた。

それに追い打ちをかけたのが、大阪を本社とする有力企業も東京に本社を持つようになったことである。パナソニック、日本生命のように大阪と東京に本社を持つ例は少なくないが、住友銀行に至っては、三井銀行と合併して本社を東京に移すことになる。

結果として、新幹線が開通して50年以上が経過した今、利便性と人の流動を飛躍的に高めたその結末は、大阪の機能が東京に吸いとられたという事態である。