オリンピックに向けて進むテレワークの動き

35度超え。朝から殺人的な暑さに襲われる。駅までやっとの思いで到着すれば、エアコンも効かないほど過密した通勤電車に揺られ、会社に着く頃には身も心もぐったりだ。こんなとき、“テレワーク”を導入してくれたら、と思う人も多いだろう。

今、9月6日まで(7月22日から約1ヶ月間)、政府は東京都と連携して、『テレワーク・デイズ2019』を開催している。これは、交通緩和などを目的に2020年の東京オリンピックに合わせて勧めている働き方改革のひとつだ。8月2日までに929 団体が参加し、実施者数は延べ約30万人にのぼる(2018年 テレワーク・デイズ:第2回発表数)。

2020年オリンピックに向けて、政府も推奨するテレワーク・デイズ

政府はテレワークによって、通勤電車の乗車率の緩和、23区内への通勤者数、オフィスの電力消費量、事務用紙等の使用量、残業時間などの削減に繋がることを上げている。働く側にもメリットは多く、国土交通省の「平成29年度 テレワーク人口実態調査」によると、テレワークを導入している企業で、テレワーカーの70.6%が、プラスの効果があったと回答している。プラス効果の具体的な理由としては、「自由に使える時間が増えた」47.1%、「通勤・移動の時間が減った」46.5%、「業務効率が上がった」46.3%が上位に挙げられた。

デメリットとしては、「仕事時間(残業時間)が増えた」34.7%が挙げられたが、総合評価としては、プラスの面が大きいという評価を下している。

しかし、果たして本当にテレワーク導入は、「メリットがほとんど」なのだろうか?

通勤がなくなることで激減する運動量

女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』が話題のフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは、テレワーク導入で、想像以上に運動量が低下すると指摘する。

「もちろん、テレワークによってすべての人が運動不足に陥るわけではありません。もともと運動習慣があった人、意識的に運動したいと考えていた人は、テレワークによって自由に使える時間で、ジムに通うなど運動に振り当てる時間を確保でき、運動量が増加する可能性もあります。ですが、今まで運動習慣がなかった人、もしくは、月に2〜3回程度ジムに通うぐらいの運動量だった人は、テレワークによって、1日の活動量が激減します」

勤務地との距離、どう通勤しているか、交通機関の状況、性別や健康状態、筋肉量によっても活動時に消費されるエネルギー量は異なるのであくまでも目安だが、平均値をとったとして、体重50kgの人が、45分電車で立っていると40kcal消費される。これっぽっちと思うかもしれないが、往復なら80kcalになり、週に5日通えば、400kcal、月に換算すれば1600kcalのエネルギー消費となる。通勤がなくなればそれだけ蓄積されることにもなる。他にも家から駅まで歩いたり、駅の階段を登る、オフィスのフロアを動く、ランチに行くなど、気づいていないがオフィス業務では細々動いていることが多い。

通勤はストレスも大きいが、活動量も高い。テレワークになるとその分、消費されなくなることに。photo/iStock

「リモートワーク(テレワーク)を当たり前にする」をミッションに、現在700名以上でリモートワークを行なっている株式会社キャスターで今年『リモートワークによる働き方と生活の変化に関する意識調査』​を実施した。リモートワークによって生活で変化した部分について、ダントツで多かったのが、「運動量が減ったこと」(82.3%)という回答だった。この結果を踏まえ、この会社では、在宅でも健康でいるための情報をシェアする部署・リモートヘルスケア部を立ち上げ、オンラインフィットネスを試験的に導入しているという。やはり、運動不足はテレワークの大きな課題といえるのだ。