中国の為替操作国指定に「今さら驚く日本人」の末路

米国の本音は伝統なドル高政策
宿輪 純一 プロフィール

米国は本音では元安歓迎では

さらにいうと、米国当局は人民元安を進めている節がある。それは「ドル高」を進めたいからである。

これはクリントン政権のルービン財務長官が有名であるが、米国の伝統的な政策で、財政赤字などで国内に資金が必要な時にはドル高に誘導して資金を世界中から集めるのである。今後、トランプ政権は金利の引き下げだけではなく、財政政策も行うため、財政赤字=国債発行をカバーする必要があるのである。

その1つが、FRB(連邦準備銀行)に圧力をかけて実施させた金利の引き下げ(金融緩和)における購入対象は米国債となる。

この大統領がFRB議長に圧力を掛けて金利を下げた歴史は過去にもあった、ニクソン大統領の時である。その時は、ハイパーインフレ+高金利となり、国内経済が大混乱となった。そのために、米国では、そのような政治行為としての利下げ圧力は自主的に行わないようにしてきた。

 

一方、現在のトランプ政権は経済政策を自分自身の“政治”のために使用している。この部分に筆者はかなりの違和感を感じる。

筆者は長年経済学を研究してきたが、「経済学にはそもそも良くなろうとする」性質というか、哲学があると信じている。経済成長率が低いときには高くしようとか、財政赤字が大きいときには減らそうとする中長期的な視点がある。

しかし、政治に関しては、最近のトランプを見ていれば分かるように、自分の“選挙”のためにあらゆる、使える手段は全て使うという短期的な視点を持つ。

その点で、ドル高政策も、国内金利の引き下げも、自身の選挙という短期的な目的のために、教科書通りに行っているに過ぎない。このような点からすると、経済学が持つ哲学がないということでトランプ政策を肯定するMMT(現代金融理論)は議論に値しない。