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「予算1兆円」イージス・アショア、噴出する反対論といくつもの問題

再考、そして引き返す勇気が必要だ

地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」は、今年4月、1399億円で2基分の本体購入費の一部を米政府と契約するなど、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)、同むつみ演習場(萩市)への配備に向けて、着々と既成事実を積み重ねている。

だが、イージス・アショアの導入を閣議決定した17年12月から燻っていた反対論がやむ気配はない。

イージス・アショア構成品の選定過程から不評は数多く、1基800億円から始まった取得費は、2基で2474億円と膨らみ、30年間の維持・運営費を含め、4459億円と公表されている。それに、迎撃ミサイルの取得費、建屋などの整備費を加え6000億円超となるのが確実だという。

加えて地元が「配備反対」の民意を示しており、配備計画を抜本的に見直すべきという意見が高まっている。「性能」と「価格」と「民意」で反対論が優勢となっているなか、イージス・アショアをゴリ押しする必要があるのか。以下に検証してみよう。

 

防衛の専門家と住民の懸念と否定

まず、防衛の専門家は総じて懸念を表明、いずれも説得力がある。

『週刊新潮』は、軍事アナリストの豊田穣士氏が、<「神の盾」に穴という「亡国のイージス・アショア」>というタイトルで、7月18日号から3回連載。

「イージス」とはギリシャ神話の「あらゆる邪気を祓う盾」であり、それと陸上を意味する「アショア」とを掛け合わせた。そこに「穴」が空いているという豊田氏の指摘は深刻だ。

本サイトでも、防衛省担当記者歴27年という大ベテランの半田滋氏が、<イージス・アショアに大金を払い、日本は米国の「不沈空母」にされる>(19年6月29日配信)と題する記事を始め、何度も警鐘を鳴らし、指揮官としてイージス艦を運用したこともある坂上芳洋元海将補が、<イージス・アショア搭載レーダーの選定に専門家が抱いた「違和感」>(19年3月28日配信)と題して、苦言を呈した。

不評は、Googleアースに分度器で資料を作成、住民説明会では職員が居眠りをするなど防衛省側の真剣さ欠いた対応もあって、秋田県や山口県など地元に共通のものとなった。

なかでも秋田県では、参議院議院選挙で安倍晋三首相、菅義偉官房長官が、それぞれ2度も駆け付け、自民党の中泉松司候補にテコ入れしたが、野党統一の寺田静候補に2万票を超える大差で敗れた。

参院選で問われたのは、「イージス・アショアの配備計画に賛成か否か」の一点であり、「民意」は否定だった。

それを受けて佐竹敬久県知事は、「自分が応援した人が負けるのは悔しい」といいつつ、「再調査の前に新屋が最適地というのはおかしい」と反発、このままでは協議に応じない姿勢を示した。

反発を受けて防衛省は、予算計上を見送った。20年度予算の概算要求について、米軍再編関連経費を含め5兆3000億円超を計上する計画だが、イージス・アショアの導入費については、敷地造成や建屋整備などの関連経費を計上せず、金額を明示しない「事項要求」とした。配備地の正式決定を踏まえて額を見積もる。

その場しのぎの印象は拭えない。

 
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