どのような職場であっても、空調服があることを前提に仕事の工程・プランが立てられているようになれば、その重要性はさらに増すことになることは自明だ。建設業や鉄鋼業界に急激に普及したのはこうした部分が大きな要因と考えられる。
具体的には、休憩・クールダウンの時間や頻度が大きく変わってくる。別の方法で同等の環境を作ろうとすれば、設備投資とランニングコストは計り知れないが、それに変わる投資と考えれば空調服は決して高くはない。空調服ならばたとえ故障が発生しても予備の服に変えることで対処できるので、故障によって工程に影響もほぼ出ない。
エネルギーコストの削減は省エネ、温室効果ガスの削減にもつながる。2018年12月に改正省エネ法が施行されたことで、工場等の設置者や特定事業者に省エネのための努力義務や報告義務が課せられることになった。空調服の導入は、その対策の有効な一手として考慮されることにもなっているだろう。
期待できる効果を挙げると、導入企業のメリットは少なくない。省エネを地球環境への配慮だと考えれば企業イメージの向上にもつながり、従業員に導入するならば福利厚生としての意味合いも出てくる。
ただ、効果の面だけをみても「中毒性がある」と言われるほど空調服が求められる理由には少し届かない。それは空調服の魅力が、着たときの体験にあるからにほかならない。これをあえて効果として挙げるならば空調服には、(6)感動があるとなる。
「ファンが付いているだけの服が、なんでこんなに涼しいのか」と驚き、その仕組みを知って「なんて面白い製品なのだ」と納得し、使ってみてその快適さを実感する。そして、それを知ってしまうと後には戻れない。この感動の部分も、空調服が中毒性を持つ大きな理由の一つなのだ。