日韓関係悪化で「普通の韓国市民」は本当に〈反日〉になったのか

むしろ日本が心配だ
伊東 順子 プロフィール

「盲目的な反日ではない」

片っ端から、韓国の意見を聞いてみた。「(徴用工の問題は)もう解決済みでいいと思う」とか「今、日本と揉めている場合じゃない」という人も中にはいたが、やはり「今回の日本政府のやり方はひどい」と怒っているという人が多かった。

「過去に不幸な時期がありました。日本は加害者ですよね。それなのに、またもや韓国に圧力をかけるとは許せません」(40代女性)

「徴用工への補償問題は裁判所の判断です。それに経済的報復というのは間違っていますよ」(50代男性)

「しばらくは日本製品を使わないようにと思っています。あ、でも捨てはしません。お気に入りもあるから…。使わないのが意思表示!」(30代女性)

「夫はね、ユニクロの服を全部捨てろって言うんですよ。でも、どうせ(不買運動は)一過性だから、しまってあります。日本製が嫌だというなら、私が作ったご飯だって食べるなと言ってやりたい、うん言おうかな」(40代、日本人妻)

ユニクロはたしかにどこも閑散としているようだ。発表はしないが、売り上げに影響は出ていると思う。

韓国のユニクロ〔PHOTO〕Gettyimages

7月には売上高が3割減という日本系チェーン店もあったし、客数は変わらないが日本酒の注文が減ったと話す和食店もある。

「普段なら日本酒を頼むお客さんが、まあ、こういう時だからと韓国製の焼酎を頼むんですよ。輸入の日本酒と国産焼酎では価格差がけっこうありますからね。お小遣いの節約にはなるでしょう」(和食店の日本人オーナー)

和食店のオーナーの言うとおり、日本製品を買わないことは「お小遣いの節約」になる。日本の酒、日本の文房具、日本製の健康食品、そしてユニクロと無印……。1980年代のウォークマンや1990年代のノートパソコンのように、絶対日本製が必要だった時代とは違う。

今の韓国の一般市民にとって、日本製品は代替可能な小さな暮らしのアクセント。裏を返せば「絶対に不可欠なもの」ではない。その意味では不買運動は誰でも参加できる手軽な「市民運動」である。各種アンケートによる不買運動への参加者は6割強。8月末から新学期が始まり、学生らの同調ムードが高まると、さらに増えるかもしれない。

 

「ただ、盲目的な反日ではないんです。それは日本の人たちに理解してほしい」(30代女性)

「相手がどんな国でも、こういうことをされたら私たちは戦います」(40代女性)

日本や日本人が嫌いなわけではなく、日本政府のやり方に怒りをもつのだという。だから日本大使館前は行われる抗議集会も、正式名称が「安倍糾弾キャンドル文化祭」となっている。「キャンドル文化祭」というのは、あの朴槿恵前大統領を退陣にも追い込んだキャンドルデモのことだ。今は韓国民主主義を象徴する大衆運動のスタイルとなっている。