2019.08.18
# 中国 # 日本

中国が日本を「豊かさ」で抜く…その時起きる戦慄すべき事態

それは2046年にやって来る
野口 悠紀雄 プロフィール

豊かさの逆転で日本国内の秩序が撹乱される

中国のほうが賃金が高くなれば、中国に立地している日本の製造業は、低賃金労働を享受できないことになる。むしろ、日本が低賃金労働を提供する可能性がある。

この結果、産業における日中間分業の姿は、現在とはかなり変わるだろう。貿易構造も変わる。

予想される第二の問題は、中国人の行動によって日本国内の秩序が撹乱されることだ。

観光公害は、日本各地ですでに危機的状態になっている。

京都、北海道、富士山周辺などでは、外国人旅行客が住民の日常生活圏にも入り込んで来ていると言われる。

東京都心では、目抜き通りに観光バスが駐車し、大量の観光客が通りを占拠している。

中国人の購買力が高まれば、こうした傾向がもっと一般化する可能性がある。

影響は以上で見たことに限られない。

不動産市場が撹乱される可能性は大きい。

既に東京のタワーマンションなどで、そうした事態が生じていると言われる。また、北海道のニセコなどの不動産が買占められているとも言われる。

これらに限らず、日本国内の不動産が広く購入されている可能性がある。

中国人の富裕層は、資産をなんとかして海外に持ちたいと考えている。中国国内では不動産の所有権を獲得することができないので、海外の不動産が標的となる。だから、海外投資の傾向は今後も続くだろう。そして、中国人の購買力が増大に伴って、それが拡大する可能性がある。

金融面でも支配される可能性がある。仮に中国資本が日本国債を大量に購入すれば、日本の金融政策も影響を受ける。株式市場も、中国からの投資で動かされるだろう。

日本のすぐ隣に、日本より豊かで、10倍以上の経済規模を持つ国が出現するということは、その一挙手一投足によって日本が振り回されるということなのだ。

電子マネーアリペイが日本国内で広く使われる可能性もある。顔認証のために顔情報を提供すれば、日本人の個人情報が中国に握られる。

 

支配されないためには強い経済力を持つ必要

最近、「日本は、がむしゃらに成長しなくてもよいではないか」という意見が聞かれる。「そこそこの豊かさで満足すればよいだろう」、「世界の片隅であっても、静かに、自分たちだけの社会を維持できればよい」という考えだ。

そうした願望を理解できないわけではない。

実際、不動産市場などが撹乱される可能性を考えると、 鎖国して殻に閉じこもりたい気持ちになってしまう。

しかし、現実の国際社会では、そうした願望を実現するのは、不可能だ。

支配されず、撹乱されないために 必要なのは、事態に積極的に立ち向かうことだ。

日本が自立を続けるには、強い経済力を持つほかはない。

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