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「エスカレーターのマナー」問題に、鉄道会社がマジになってるワケ

歩くべきか立ち止まるべきか…

歩行することを前提に作られていない

エスカレーターは歩かないでください――。いま、こんな啓発キャンペーンがヒートアップしているのをご存知だろうか。この7月22日より、「エスカレーター『みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」が全国の52の鉄道事業者を中心に、商業施設、空港などと共同でスタートしている。

エスカレーター「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンポスター

我々の生活習慣にもすっかり馴染んでいるエスカレーターの「片側空け」ルール。元々はイギリスで発生したものが、大阪万博の頃にまずは大阪で導入され、それがいつしか日本全国に広がって行ったというのが通説である。ただし、関西では右側に立ち止まって左側を空けるのに対し、首都圏など多くの地域では左側に立ち止まって右側を空けるといった違いがあるのは興味深い。

エスカレーターの片側を空けて、急ぐ人は歩いて上り下りするというルールは、長い間に定着した自然発生的なルールであり、すでに多くの人に許容されている。けれども、これに伴う事故が多いのも事実である。

あまりにも急いでエスカレーターを駆け上がったり、駆け下りたりするときに転んだり、立っている人に接触して転倒させるなどして重傷事故や時には死傷事故が発生することも少なくない。また、からだの具合が悪くてエスカレーターを右手でしかつかむことができない人の場合、左に立てないこともある。だからといって、首都圏で右側に立ち止まるのは接触事故や罵声を浴びせられるといったトラブルの原因にもなりうる。

 

エレベーターやエスカレーターなど昇降機関連の業界団体である日本エレベーター協会によると、エスカレーターは元来歩行することを前提に造られていないという。そのため、大勢の人が足早に通行すると故障の原因にもなると指摘している。

そうしたことから、近年、「エスカレーターを歩かないでください」といった注意喚起キャンペーンやポスターなど頻繁に呼びかけてはいるものの、多くの利用者にはほとんど反応がない状況が続いていた。