米中冷戦の最終段階「軍事衝突」はいつ、どこで勃発するか

中国は「毛沢東式持久戦論」で迎え撃つ
近藤 大介 プロフィール

エスパー長官が漏らした本音

このように中国の反発がヒートアップする中、エスパー長官は6日、ニュージーランドから日本へ向かう機上で、再び同行記者団との懇談に応じた。

そのやりとりを、国防総省は異例とも言える「公開」に踏み切った。前回、ポロリと本音を漏らしてしまったことを修正しておきたいという意図が働いたものと思われる。

 

その全文は、ペンタゴン(国防総省)HPの下記のアドレスで見られるが、実に興味深い記者団とのやりとりが交わされている。

https://www.defense.gov/Newsroom/Transcripts/Transcript/Article/1927792/media-availability-by-secretary-esper-en-route-to-tokyo/

〔PHOTO〕gettyimages

エスパー長官は、前回のミサイル配備発言を修正したくて懇談に応じたというのに、記者たちはイランやトルコ、北朝鮮の問題ばかり質問する。やがてしびれを切らしたエスパー長官が、何と自分で質問を始めたのだ。そのくだりを訳出してみる。

エスパー長官: 「誰かが私に、アジアにおけるミサイルの話を質問したね(一同爆笑)」

記者団: 「アジアの同盟国にミサイルを配備するという話を、あなたはいま聞いたのですか?」

エスパー長官: 「OK、よろしい。その質問が出てくれて嬉しいよ(一同爆笑)

私は誰かに、アジアにおけるミサイル配備について問うたことはない。オーストラリアでもそのことが報道されていたが、私はオーストラリアで問うていないし、彼らもそちらに傾いてはいない。

われわれはそのことから距離がある。実際、弾道ミサイルであれ、巡航ミサイルであれ、具体的なオペレーションが可能になるまで、すなわち配備が可能になるまで、あと数年はかかる。そしてそれまでに多くの対話が必要だ。

それは、このプランも含めて、米インド太平洋軍のオペレーションと合ったものにしないといけない。そしてどこに配備するのが最もよいかを、パートナー国と長く話し合わねばならないだろう? 再度言うが、地上配備となると、摩擦も起こってくる。

だからとにかく、誰かは来週かそこらに配備するようなことを考えたようだが、時間がかかるのだ。ミサイルのことは、これではっきりしたかい?」

以上である。会話の端々に、イランへの対応で「有志連合」を結成しようという中、東アジアで余計な面倒を起こしたくないというエスパー長官の心情が伝わってくる。元は陸軍の軍人でありながら、その後除隊して、連邦議会でロビー活動をしたりしていただけあって、エスパー長官は虚心坦懐に話す人物のように映る。