米中冷戦の最終段階「軍事衝突」はいつ、どこで勃発するか

中国は「毛沢東式持久戦論」で迎え撃つ
近藤 大介 プロフィール

〇第3段階 <金融戦争>……2019年8月5日~継続中

8月5日、アメリカが中国を「為替操作国」に指定した。5月下旬に、アメリカ財務省は「中国は為替操作国ではない」と認定したばかりで、6月29日には大阪G20サミットでトランプ大統領と習近平主席との米中首脳会談も開かれたので、5日の発表は中国にとって、まさに寝耳に水だった。

同日、10年ぶりに1ドル=7人民元を突破する元安ドル高となり、中国は猛反発した。たしかに、アメリカ財務省の「為替操作国」の定義は、①対米黒字が年間200億ドル以上、②経常黒字がGDPの2%以上、為替介入による外貨購入が年間6ヵ月以上かつGDPの2%以上、という3条件を満たした国・地域であり、中国が引っかかるのは①だけだ。

客観的に見て、トランプ政権の今回の行為は「不当」なのだ。そのため、「中国を叩く」という明確な意図を持って為替操作国に指定したと見るべきである。

そもそも、1994年7月にビル・クリントン政権が中国を指定して以降、四半世紀にわたって為替操作国に指定された国・地域はないのだ。だが中国は12日現在、具体的な対抗措置は取っていない。

アメリカ財務省の7月16日の発表によれば、中国は5月現在で1兆1101億ドルのアメリカ国債を保有しており、海外ではトップである。これを一気呵成に売却するという対抗措置があるのではとも思うが、「アメリカ政府も他国も買い取らないし、暴落して中国が損失を被るので不可能」(中国の経済関係者)という。

 

〇第4段階(最終段階) <軍事衝突>……時期は未定

米中の軍事衝突がいつ起こるかは定かではないが、起こる場所は3ヵ所に、ほぼ限られている。南シナ海、台湾周辺海域、尖閣諸島海域を含む東シナ海である。いずれも中国の近海だ(日本の近海でもある)。

以上である。米中対立の「水位」が、すでに第3段階まで上昇した以上、それがいつ第4段階、すなわち最終段階の米中軍事衝突に移行してもおかしくないことは、中国側も重々覚悟している。

もっと踏み込んで言えば、最も「火薬庫」になるリスクが高いのは、来年1月に総統選挙が行われる台湾である。

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すべては台湾統一のため

以前、中国のある関係者がしみじみ述べていた言葉が、私の脳裏にこびりついている。それは次のようなものだ。

「習近平主席が現在取っている様々な重要政策は、わが民族の悲願である台湾統一と関連している。極言すれば、すべては台湾統一のために行われていると言っても過言ではない。

習主席は、中国共産党100周年(2021年7月1日)を、台湾統一という偉業で飾りたいと、本気で考えている。それを実現して初めて、『建国の偉業』を成し遂げた、誰よりも敬愛する故・毛沢東元主席と並んで、自分も中華民族の歴史に名を遺す指導者になれると考えているのだ」

そうだとするならば、米中対決の最終決戦の場は、まさに台湾を巡る攻防ということになる。