混迷の東京モーターショー、海外メーカー撤退の「残念すぎる事情」

業界最大イベントの行方は…
御堀 直嗣 プロフィール

エンジンを使ったクルマからモーターで走るクルマとなることにより、単に移動手段でしかなかったクルマが、生活を支える機能になっていく。そのような新たな時代に、先鋭的なデザインや走行性能を重視したコンセプトカーを見るだけのモーターショーへ、わざわざ入場料金を支払ってまで行くだろうか? 

それよりも、インターネットで検索するか、最寄りの販売店へ行くなどして、自分の生活に役立ち、安心・安全な暮らしを続けさせてくれるクルマを調べたほうが理にかなっているのが実情だ。

 

「所有欲の消失」も背景に

モーターショーの価値が失われた原因には、消費者がクルマを「所有する」のではなく「利用する」という使い方にシフトしていることも挙げられる。

世界人口は20世紀の間に4倍以上増えて、すでに75億人に達し、国連では11年後の2030年には世界人口の6割が大都市に住むようになると推計している。このことは、人口の過密を意味し、すでに日米欧の大都市で始まっている。

そのような地域で、高級かつ高性能なクルマを所有して自分を主張しようとしても、ほとんど意味がない。渋滞で身動きできないからだ。しかし、個人の意思で自由に移動したいと考えたら、公共交通機関よりクルマの方が便利である。

そこで、買うのではなく、レンタルやシェアサービスを活用することが選ばれている。言わずもがな、それを下支えしているのはスマートフォンを利用した通信機能の高度化だ。

地域全体のクルマの台数が減れば、その分渋滞が軽減される。また、自分に都合のよいクルマの利用ができれば、希望する時間通りに移動でき、なおかつ料金も安く済む。ローンの支払いや、月々の駐車代金、さらには税金や保険や燃料を自己負担しないからだ。

いずれ、電動や自動運転といった技術がこの流れに組み合わされば、交通事故も減って、より効率よく短時間に移動できるだろう。

もはや、あえてモーターショーを見に行く理由はないと言える。