髙橋洋一が提言、夏の甲子園を残酷ショーにしない「合理的改革案」

「最適解」は計算を駆使して導き出せる
髙橋 洋一 プロフィール

もし仮に、「1日に何試合もできて、かつ球場間を選手たちが瞬時に移動できる」とすると、球場が十分に多いならば、参加校数3730校のトーナメントでも1日で終えることができる(絶対にあり得ないことだが)。

もちろん、日本にある公式球場は800ヵ所程度であり、それぞれがせいぜい1日に4試合しかできないし、しかも同じチームが1日に何試合もこなせるはずがない。

では、ここに「ひとつのチームが1日に1試合しかできない」という(現実に即した)条件を加えればどうなるだろうか。

計算上、優勝チームは、11回ないしは12回の試合に勝たなければいけない。これは、1回戦ごとに参加チームが半減していくので、数学的にいえば〈2の11乗(=2048)<3230<2の12乗(=4096)〉であるからだ。

となると、もし地方大会と全国大会を分けない場合、すべての試合を終えるまでに少なくとも12日必要であることがわかる。

 

つらい試合日程「本当の原因」

実際の甲子園ではどうなっているのか。今年、地方大会の代表校のうち最多試合数の高校は、全国最多188校が参加する愛知大会を勝ち抜いて代表となった、誉高校の8試合だ。

一方、最少試合数の高校は、全国最少の23校が参加した鳥取代表の米子東、26校が参加した高知代表の明徳義塾、30校が参加した福井代表の敦賀気比で、いずれも4試合。

甲子園での全国大会は49校で競われるので、5、6試合を勝ち続けた高校が優勝する。残念ながら誉高校は1回戦で敗退してしまったが、優勝するためには9~13回の試合が必要という計算になる。これは、先に述べた必要試合数の考察がそれほど現実と外れていないことを示している。

そこで、いよいよ本題である。どうすれば、無理のない試合日程を作ることができるのだろうか?

平均的な地方の場合、地方大会で必要な試合数と全国大会(甲子園)で必要な試合数は、ともに(優勝すれば、だが)同じくらいの6試合である。

しかし、地方大会では複数の球場で試合が行われるのに対し、全国大会では球場が甲子園1つしかない。このため、甲子園での試合日程は過密になっている。