髙橋洋一が提言、夏の甲子園を残酷ショーにしない「合理的改革案」

「最適解」は計算を駆使して導き出せる

あまりにも暑そうなので…

夏の高校野球が8月6日に開幕し、甲子園球場で球児たちの熱い戦いが連日繰り広げられている。この期間は、テレビも試合の様子や結果を報じる番組が多い。

筆者はテレビをあまり見ないほうだが、スポーツ観戦は好きなので、高校野球の中継はよく見ている。少年たちが一所懸命に白球を追う姿は感動ものである。

ただ、この暑い中、選手や球審はさぞかし大変だろうなと思う。特に球審は選手より年齢も高い上に、試合中は長時間炎天下に晒される。負担はかなり大きいはずで、思わず心配になってしまう。

そこで無粋ながら、高校野球の趣旨をできるだけ損なわないような形で、関係者の健康に配慮した「無理のない日程」を組むために、甲子園をどのように運営したらいいかを「合理的思考」にもとづいて考えてみた。お盆ということで、本コラムもいつもと少し目先を変えてみたい。

 

まず、夏の高校野球の基礎データをおさえておこう。正式名称は全国高等学校野球選手権大会(主催:朝日新聞社、日本高等学校野球連盟)である。今年で101回目だ。

地方大会が全国47都道府県(北海道と東京都は南北/東西に分かれる)において、参加校数3730校で行われ、49の代表校が甲子園への切符を手に入れる。今年は6月22日に沖縄と南北海道で地方大会が開幕したのち、各地方大会が順次行われ、7月30日の愛媛・徳島大会決勝戦ですべて終了した。

甲子園球場で行われる全国大会は、8月6日から16日間(雨天順延。準々決勝、準決勝各翌日の休養日2日を含む)行われる。試合方法は、全国大会、地方大会ともにトーナメント方式だ。

参加校数3730校がトーナメント方式で戦うということは、引き分け再試合をカウントしなければ、全部で試合数は3729試合だ。これは、優勝する1校が決まるまでに3729校が敗れるということは、1試合ごとに敗者が1校決まるので、3729試合が必要……という理屈で計算できる。

ここで、ちょっと荒唐無稽な思考実験をしてみよう。こうした思考実験は、現実に起きていることの本質を理解するうえでも意外と役立つ。

もし仮に、「1日に何試合もできて、かつ球場間を選手たちが瞬時に移動できる」とすると、球場が十分に多いならば、参加校数3730校のトーナメントでも1日で終えることができる(絶対にあり得ないことだが)。

もちろん、日本にある公式球場は800ヵ所程度であり、それぞれがせいぜい1日に4試合しかできないし、しかも同じチームが1日に何試合もこなせるはずがない。

では、ここに「ひとつのチームが1日に1試合しかできない」という(現実に即した)条件を加えればどうなるだろうか。

計算上、優勝チームは、11回ないしは12回の試合に勝たなければいけない。これは、1回戦ごとに参加チームが半減していくので、数学的にいえば〈2の11乗(=2048)<3230<2の12乗(=4096)〉であるからだ。

となると、もし地方大会と全国大会を分けない場合、すべての試合を終えるまでに少なくとも12日必要であることがわかる。

 
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