# 官僚制 # マックス・ウェーバー

「ウェーバー先生!なぜ窓口の公務員はやる気がないんですか?」

日常に潜む支配/被支配のパターン
石井 徹 プロフィール

ヤクザと学ぶマックス・ウェーバー

終戦直後の1945年、天皇の「伝統的支配」からマッカーサーによる「カリスマ的支配」へと劇的に変わった瞬間からこの物語は始まります。

©Teamバンミカス

若い方は「マッカーサーってカリスマだっけ?」と疑問に思うかもしれません。しかし当時の日本人に相当人気があったのは確かです。

 

昔読んだ政治学者の本に、日本人からマッカーサーへと送られたファンレターが載っていました。驚くべきことに、「息子に元帥の名前を付けたい」というのです。ダグラスなのかマッカーサーなのかわかりませんが、本人は名前の由来を知ってどう思ったのか気になります。

しかしこの漫画の主人公は天皇でもマッカーサーでもありません。なんとヤクザが主人公なのです。こういう発想は普通出てきません。最初何を言っているのかわかりませんでしたが、何度か聞いてようやく兼久さんの意図を理解できたのです。

戦争で両親と妹を失った主人公は、戦後の日本が貧しい原因はGHQだと考えてマッカーサーを刺し殺そうします。それがキッカケでマッカーサーから支配の正当性について指南されるのです。世の中の見方が変わった主人公ヤクザは任侠世界の頂点を目指し、ついには1万人の子分を持つ大親分になります。

©Teamバンミカス

どの組織にも支配/被支配がある

マックス・ウェーバーの支配の3類型は理念であって、1つの支配類型、例えば「カリスマ的支配」だけで社会が成立するわけではありません。カリスマの下には当然事務作業を担当する官僚が必要だし、何かしらの伝統に従うこともあるでしょう。

現実には3類型の「混合型」だとウェーバー本人も言っているわけですが、このことをヤクザ社会で説明してしまったのは驚きです。しかもわかりやすいのです。

カリスマがあるから大親分になるわけですが、大親分の下には下部組織があります。大きい組織であれば「官僚組織」と同じような形態になるので、任侠道という規範を守っている「合法的支配」ともいえます(法律的には問題はありますが)。兄弟盃によって親分の地位が代々継承されていけば、「伝統的支配」の要素も生まれます。まさに「混合型」です。

今回は本来副題とすべき『支配されるか、支配するか』を敢えてタイトルにしました。元本の名前が一般の人に馴染みがないのも一因です。私たちはどこかの組織に所属しないと生きていけない。そこには必ずと言っていいほど、支配と被支配が存在します

そうは言っても人はなかなか気づかない。だからこそ本書を読んでもう一度覚醒していただきたい。覚醒してそんな支配構造に振り回されないようになっていただきたいと願うのです。