# マックス・ウェーバー # 官僚制

「ウェーバー先生!なぜ窓口の公務員はやる気がないんですか?」

日常に潜む支配/被支配のパターン
石井 徹 プロフィール

やる気がない公務員が存在するのはなぜ?

私の前にいたのは下っ端ですが官僚の1人です。明らかに説明不足ですしやる気があるとは思えない。しかし一応法律や内規に従って、時間内に相談に乗ったといえば乗っている。「公僕」としてあるべき姿かどうかは別として、形式上は官僚としての職務をまっとうしたことになる。

 

しかし私が相談しようと思っていた問題は何ひとつ解決していません。これでは市民の側から「仕事をしていないじゃないか!」と思われても仕方がない。それでも許されるのです。何も成果はないですが「相談を受けた」という事実はあるわけですから、きっと上司に何か言われても言い逃れできます。

もちろん公務員の中にも「市民」のために真剣に頑張っている方もいるでしょう。私自身、役所の窓口で親切な担当者に出会ったことはあります。しかしこのようなやる気がない公務員を見た経験がある方も多いはずです。

「官僚なんて大嫌いだ!」と言っておきながら申し訳ないのですが、実は私は就職活動の際に、某地方公共団体の入社試験に合格しておりました。編集者と公務員は全く異文化の職業ですが、諸事情によりそうなったのです。

たまたま高校の友人が同じ試験を受けて公務員になりました。まだ20代の頃会うと、彼は「仕事が楽しい」と言うのです。

「だって石井、役所のどんな仕事でも人の役に立ってんだよ。楽しいじゃん」

緊張でゲーゲー吐きながら原稿を取りに行っている私はちょっとショックでした。私の仕事は結局のところお金儲けが目的で、人の役に立っている実感がつかみにくいものです。

その時は、彼が言っていることは正しいと思いました。彼のように志が高い役人もいるのです。その後会っていないので今は悪い人になっているかもしれませんが、その時は妙に爽やかな気分になりました。

©Teamバンミカス

「官僚的」社員はあなたの会社にも

何の課題も解決していないが、「法律」や「規則」を守って「規定」の行動をとったから仕事をしたと言い張る人間は民間企業にもいます。皆さんの会社にも思い当たる人がいるのではないでしょうか。

出版社では新入社員の時から「送り屋になるな」と厳しく教育されます。「送り屋」とは、作家に対して一切助言やアイデアを提供せず、ただ原稿をもらって印刷所に送るだけの編集者のことです。彼らの仕事には頭脳労働がありません。

私がずっといた漫画部門にもこの手の「送り屋」はいました。漫画作りで1番大事なのは「打ち合わせ」です。次の話をどうしようかと漫画家さんと頭を悩ませるのです。

しかし「送り屋」はそんなことはしません。せいぜい「面白いですね」、「つまらないですね」と言う程度です。「あの人とは打ち合わせが成立しないから替えてくれ」と言ってくる漫画家さんもいます。