戦没者遺骨「112万体が未収容」…日本の本気度が試されている

DNA鑑定の困難と遺骨の未来
栗原 俊雄 プロフィール

近年は、日本軍沈船に注目が集まっている。米富豪による深海艇が、フィリピン近海の海底で戦艦「武蔵」を発見し、国内外で大きく報じられた。昭和天皇が乗船したことから「お召し艦」として人気が高かった戦艦「比叡」も日米の激戦地だったソロモン諸島・ガダルカナル沖で発見されている。

両艦とも沈んでいるのは深海で、遺骨の収容は現状では極めて困難だ。ただ日本海軍の根拠地だった西太平洋のトラック諸島(現チューク諸島)のように、人間がダイビングで到達できる程度の海にも、未収容の遺骨が遺棄されたままだ。

検討会では、この海没遺骨についても議論が及んだ。委員の一人が「海中に人骨が残っている。いいDNAがとれるはず。だれが(船に)乗っていたかも分かる」などと指摘したのだ。

 

また厚労省が「相手国事情により主要困難」として収容の対象としていない遺骨は、23万体に及ぶ。ほとんどが旧満州などの中国だ。収容どころか大規模な調査すらできていない。北朝鮮も同様だ。ただ北朝鮮の場合、生還者らによる埋葬記録が残っており、本格的な調査、発掘が行われれば成果は上がるだろう。

いずれにせよ海外での遺骨収容を進めるためには、外務省の責任が大きい。現場での収容と日本への移送にあたっては、防衛省の協力が不可欠だ。推進法の狙いは、こうした関係省庁に遺骨収容という事業の横串を打つことだった。

高齢化が進んでいるとはいえ、近藤龍雄さんの遺族がそうであるように、遺骨の帰還を待ちわびている遺族はたくさんいる。

硫黄島やシベリアなど国が対象としている59万はもちろんのこと、海没遺骨など「収容困難」の遺骨にどうやって手を伸ばすのか。それとも伸ばさないのか。推進法によって遺骨収容を「責務」とされた国の本気度が試されそうだ。