戦後74年が経っても日本はまだ「アメリカ占領下も同然」という現実

兵器を押し付けられ、カネをせびられて
時任 兼作 プロフィール

5.設置自治体への説明ミスと失態

防衛省は、イージス・アショアの秋田市陸上自衛隊新屋演習場への配備について説明する際、誤った調査資料を提出したことが判明し、再調査を余儀なくされた。また、説明会では職員が居眠りするような不祥事も発生した。

「信頼回復に向けて再調査を行うと言っているが、前述の通り、秋田に作ると最初から決まっていたのだから、結果が変わるはずもない。そんなことで地元自治体や住民の反発が抑えられるものか」

 

足元を見てくるトランプ政権

こうした数々の問題点を踏まえて、防衛省関係者が総括する。

「イージス・アショアは米国のためにはなるが、日本にとってはカネ食い虫で、健康被害の危険がある、しかも欠陥品と悪いことづくめの装備だ。そのうえ、さらに穴があることも今回判明してしまった。自治体の反発も弱まる気配はない。果たして配備を強行していいものか」

一方、政府関係者はさらに広い視野から問題提起した。

「米国の有志連合の話や、地位協定と駐留費負担の件もある。通商交渉も……。米国は次から次へと要求してくるが、どれもこれもと言うわけにはいかない」

ホルムズ海峡での船舶の安全航行を名目にトランプ政権が呼びかける有志連合は、法的拘束力のある国連安全保障理事会の決議などを経ない非公式の軍事組織であるため、難色を示す国が多く、呼びかけから1ヵ月以上が経ってもまだ英国しか参加を表明していない。

日本も、安全保障関連法で集団的自衛権を行使する際の要件と規定されている「存立危機事態」には当たらないとして、有志連合の参加には否定的な考えを示している。また、自衛隊法に基づく「海上警備行動」(治安維持などを目的に実施される措置)では、日本と関係のない外国の船を護衛できないなど制約があり、適用が難しいとされている。

ところが、日本に対して米国は強硬策に出た。7月21日に来日したボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、翌22日に河野太郎外相や岩屋毅防衛相らと相次いで会談し参加を要請。さらに25日、ポンペオ米国務長官はこうした要請について明らかにしたばかりか、「日本に期待するのは、海上警備にあたる艦船の派遣や資金協力である」として判断を迫ったのである。

日米地位協定についても、米国が日本に譲歩する気配はない。奇しくも同月25日、地位協定が改定されたが、大勢に影響はなく、日米の不平等性は揺るがなかった。米軍機事故が起きた際、日本側が事故現場へ「迅速に立ち入りを行うことが明確になった」と政府は言うものの、そもそも立ち入りを認めるかどうかは米軍次第。

逆に事故機の残骸、部品などに関して「資格を有する者のみに(中略)アクセスが付与される」と明記され、警察に事故機の差し押さえや捜査の権限がないことが確定された。

犯罪を犯した米兵の身柄引き渡しや環境汚染への対応なども、米軍の裁量に委ねられたまま。国を挙げた「優遇措置」と言える状態が今後も続くわけだが、にもかかわらず、米側は駐留費の増額を要求してきている。

ボルトン大統領補佐官は、来日した21日に、米軍の駐留費について「5倍に増額を」と迫ったという。菅義偉官房長官は要求があったことすら否定するが、これに従えば日本側の負担は年間2000億円から一気に1兆円にはね上がる。防衛省予算の5分の1に相当する額だ。