「虐殺の痕跡」を辿るルワンダのダークツーリズムと、中国人の足跡

安田峰俊・チャイナフリカを往く③
安田 峰俊 プロフィール

ローカル空間にもあふれる中国の姿

さらに通訳兼アテンドのピーターといっしょに、南部のフイエへ一泊旅行に行ってみた。ルワンダの虐殺記念館は小さなものを含めればほとんど「街ごと」と言っていいほど数多くあるが、フイエ近郊(州は異なる)のムランビにはそのなかでも有名な施設があるからだ。

キガリからフイエへは、バスで5〜6時間かかる。長距離バスターミナルはローカル層のルワンダ人たちで雑然としており、外国人も多いキガリ市の中心部とはまったく違った雰囲気だ。

 

ただ、ここでも中国系携帯メーカーの看板が溢れていた。さらにバスの車両も半分くらいは中国製の中古車らしく、広東省深圳市の路線バスが外装を変えないまま現役で稼働していたりする。

※ローカル色の強いキガリの長距離バスターミナル。ここでも中国系の携帯メーカーのX-tigi Mobileや「伝音」ブランド(TECNOやitel)と、インドの携帯メーカーAirtelの看板だらけ。スマホ端末のアフリカ市場は中印メーカーががっつり押さえている。

キガリからフイエまでは、途中でピーターの故郷のムハンガでの小休止をはさんでの旅だった。ワニが泳ぐ川を越え、山がちなルワンダの農村を抜けていく道中だが、中国が整備したという道路のおかげで車両は意外にもあまり揺れない。

※道中の景色。「千の丘の国」と呼ばれるほど山がちなルワンダの風景は眺めていて飽きが来ない。

路傍には発展途上国に多い、農家の壁にペインティングをおこなう形式の広告が数多く出ていたが、なかにはキガリの浙江系華人財閥「2000集団」が出資する中国資本の衛星テレビStarTimes(四達時代)の広告もある。

StarTimesは現地への支援活動をアピールする広告戦略を取っているらしく、ルワンダ国旗と中国国旗(五星紅旗)を並べたデザインだ。すなわち、ルワンダではとんでもない田舎町でも中国国旗を目にすることになる。

やがて到着したフイエは、ピーターの母校・ルワンダ国立大学のキャンパスがある文教都市だった。

※フイエ市内で見つけた中華料理店。ちなみに、イケメンのピーターは街ごとにかわいいガールフレンドがいる(左下)。とてもうらやましい。

夜に街を散策したところ、ここでも中国大陸系とみられる簡体字表記の中華料理店を見つけた。主人は中国人で、数人のルワンダ人女性が従業員としてかいがいしく働いている。ルワンダの地方都市まで個人商店を展開してしまう中国人のパワーはやはりすさまじい。