就活で全滅した学生が「ラノベ作家」になるまでの迷走

高木敦史の迷走物語(1)
高木 敦史 プロフィール

私は不勉強にてどの作家も初めて知る方で、もちろん全て未読でした。私は漫画こそ雑多に読み漁っていましたが、小説の好みはかなり偏っていたのです。

日本の小説は芥川龍之介と村上春樹、海外に至ってはラテンアメリカ文学一辺倒でした。何でそうなったのかについてここでは割愛しますが、そういうわけで編集者との打合せの帰りに神保町の大きな書店で件の三冊を買いました。そして読んでみて「全部面白い!」となり、この三作家の作品は読めるだけ読みました。

 

そういうわけで私の中の世界は広がり、漫画を描く作業にも勢いがつきます。

スプーンで穴を掘っていた

その後二本ほど漫画を描いて持って行った後「次からはネームを見せて」と言われ、以降しばらくはコピー用紙に鉛筆書きで書いたものをFAXで送ってやりとりをしていました。しかしながらある日、大きな壁にぶち当たります。ずっと見てくださった編集者に、電話口でこのように言われたのです。

「君の漫画は字が多すぎて読むのダルい」

これは割とショックでした。そんなことを言われる自分にガッカリした、という感覚です。

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字が多いのは自覚していましたが、自分からしてみれば分量を最小限まで圧縮し、それでも話の意味が過不足なく伝わるよう最大限の努力をしたのに、と。もしこれ以上を削るなら、残った漫画よりも削った情報の方が「面白い」ものになってしまう――。

それでまあ、なんていうか、やる気がなくなり、漫画はぱったり描かなくなりました。それまでは「目の前に壁があって、掘ってりゃそのうち穴が空く」という予感を抱いていたのですが、ドリルと思って手にしていたのがハーゲンダッツのスプーンだったと知らされた、そんな感覚でした。

それから何年経ったでしょうか。いつの間にか30歳を目前に迎え、なんか自分は何もしてないなーとゴロ寝しながら思う日々。が、世は不思議なもので、漫然と生きている私にここで再び転機が訪れます。