5. 腸内細菌や、乳房の細菌のバランス

がんや生活習慣病、メンタルヘルスをはじめ、その他の多種多様な病気にかかわっているといわれ、最近研究が進んできているのが腸内細菌です。腸には、授乳を通して母親から受け取った細菌叢(さいきんそう)があり、成長とともに発達し、食生活などによってバランスが変わります。

腸内細菌では、乳酸菌がとりわけ有名ですね。一般的には、細菌の種類が偏っておらず多様性があるのがバランスが良く、各種病気の予防にも効果的だろうと考えられています。食物繊維を多くとると腸内細菌の多様性が保たれ、また、肉を多く食べると腸内細菌が偏るといわれています。乳がん患者では、腸内細菌の多様性が低下していたとする報告もあります(*5)。

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常在菌(通常病気を引き起こすことなく人にすみついている菌)は、腸内だけではなく、乳房組織にもあることがわかってきており、乳がんにかかった人とかかっていない人で、菌のバランスに違いがあることも指摘されています(*6)。また、動物実験では、魚や豆が多く、肉の少ない食事で乳房組織の細菌の多様性が保たれることが示唆されています(*7)。

現代日本人の食生活は食物繊維が不足しており、特に外食やコンビニ弁当が多いという人は足りなくなりがちですので、ごぼうや大根、ほうれん草などの野菜類や、さつまいもなどの芋類、海藻やキノコなど、食物繊維の多い食生活を心がけるといいでしょう。

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なにごともバランスが大事

乳がんのリスクを高める、あるいは高める可能性のある生活習慣を紹介してきましたが、なにごともバランスが大事です。特に、がんや生活習慣病というのは、ひとつの要因でなるわけではなく、遺伝と環境の影響とが複雑なメカニズムを形成しており、予防も極端にならないことが大切です

乳がんにおいても、遺伝性乳がん卵巣がん症候群などを除いては、何かひとつの決定的な要因でなるわけではないですし、ひとつひとつのリスクは通常、極端に大きなものではありません。食生活に気を遣うあまりにストレスがたまってしまうのは本末転倒です。健康というのは、幸せに生活する上でのひとつの手段でもありますので、なにごとにもほどほどを心がけて、人生を楽しみましょう。

1. 乳癌診療ガイドライン 疫学・診断編 2018年版 日本乳癌学会
2. ECRF/AICR https://www.wcrf.org/sites/default/files/Recommendations.pdf
3. Schernhammer et al. “Night work and risk of breast cancer” Epidemiology. 17(1):180-111, 2006
4. Garcia-Saenz et al. “Evaluationg the Association between Artificial Light-at-Night Exposure and Br east and Prostate Cancer Risk in Spain (MCC-Spain study) Environ Health Perspect. 23;126(4):047011.,2018
5. Goedert J.J. et al. “Postmenopausal breast cancer and oestrogen associations with the IgA-coated and IgA-noncoated faecal microbiota. ” Br. J. Cancer. 18:471–479., 2018
6. Urbaniak C. et al. “Microbiota of human breast tissue.” Appl. Environ. Microbiol. 80:3007–3014. , 2014
7. Shively CA et al., “Consumption of Mediterranean versus Western Diet Leads to Distinct Mammary Gland Microbiome Populations.” Cell Rep. 25(1):47-56.e3. ,2018