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怪人・三木鶏郎をご存知か〜「鉄人28号」主題歌を作詞した男の実像

「サブカル」の原点にいる人

サブカルの世界に生きた男

三木鶏郎の評伝『冗談音楽の怪人・三木鶏郎』(新潮社)という泉麻人が書いた本を読んだ。

三木鶏郎という名前にはつい反応してしまう。それがこの世代の兆候だろう。泉麻人は昭和31年生まれ、私は昭和33年生まれである(私は早生まれなので、泉氏とは一学年の差になる)。

 

三木鶏郎は、この本の帯に書かれているように「日本のポップカルチャーを作った」男だ。戦後直後のNHKラジオで「冗談音楽」という番組で日本中を熱狂させた。戦後日本の“楽しく明るい文化“を一手に担っていたという印象がある。

時事ネタを中心にいろんなことを茶化し、冗談にして、戦後世相の圧倒的な支持を得る。当時の吉田茂内閣も反応するほどの反響を呼んでしまった。

そのあと多数のコマーシャルソングを作る。テレビアニメのいくつもの主題歌を作った。またディズニーのアニメ映画「白雪姫」から「ピノキオ」「ダンボ」などの日本語版を監督した。歌詞を作り声優の配役を決め、日本版の音を彼が作ったのだ。

活躍していたのは昭和20年代から30年代である。

昭和44年の冗談テレビ番組『ゲバゲバ90分』の総監修もやっている(三木鶏郎の事績を調べていて、ゲバゲバの監修をやっていたのかとあらためて驚いた)。

時代と共にあった。時代を作ったとも見える。

ただ、お笑いや風刺、コマーシャリズムやアニメーションという消費文化の一人者であった。

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21世紀のいまでこそ、お笑いもCMもアニメも文化として認められているが、昭和20年代や30年代の日本にはまったくそういう空気はない。

「文化」といえば古典的なものしかなく、次世代に受け継がれていくものだけがカルチャーであった。