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「表現の不自由展」中止で「平和の少女像」が有名になったという現実

テロ予告への対応と表現の自由

あいちトリエンナーレとテロ予告

あいちトリエンナーレは、愛知県が中心となり2010年から3年に一度開催されている大規模な国際芸術祭である。2019年は、津田大介氏が芸術監督となり、8月1日から開催された。

多数ある展示のひとつA23「表現の不自由展・その後」は、ウェブサイトの趣旨説明によると、「日本で何かしらの理由で展示できなくなってしまった作品」を集めたとし、さらに「現代においては、その対象は為政者や権力者とは限りません。そのため、表現の自由は無制限に認められるわけではなく、他者の人権を損なう場合は調整が行われます。」と述べて、驚くべきことに、表現内容次第で表現規制がなされるべきと主張しています。

事件化したのは、8月1日に、その展示物のなかに、慰安婦問題で騒がれた「平和の少女像」があることが知れわたったためである。

松井一郎大阪市長、河村たかし名古屋市長などが、強く非難し、3日には、大村秀章愛知県知事と津田大介氏が、抗議が殺到し、テロ予告や脅迫があることを理由に「表現の不自由展・その後」の展示中止を発表した。

本事件について、既に多くの報道やコメントが出されているが、表現の自由問題として、簡潔に整理したうえで、私の専門である、テロ予告や脅迫の問題について情報提供しつつ私見を述べたい。

 

展示中止は間違いだった

まず、表現の自由については、誤解や曲解さえしなければ、むしろ簡単な問題である。芸術祭の展示物の内容によって、展示中止はしてはいけない。とりわけ権力者は手出し口出し無用である。

むろん、名古屋市庁舎前に置かれたのなら、市長が怒って撤去させてかまわない。公金が入っていても、表現物への介入は憲法違反である。

憲法を学んだ者にとっては、簡単な例題なのだが、そもそも津田大介氏はじめ、多くの人は理解していないか、わからないふりをしている。大村知事ただひとりが、まともな答弁をしている。

憲法学者にとっては正解が簡単にわかりすぎて、理由の説明がうまくできていないように感じるので、私なりに説明をしておこう。