汗をかいてお祭り騒ぎをする曲、海辺でしっとり聞きたいバラード。湘南生まれのバンドが日本を席巻して41年。今年も、サザンを聞きたくなる季節がきた。
桑田佳祐が青山学院大学在学中に活動開始。'78年、『勝手にシンドバッド』でデビュー。当初のメンバー6人のうち1人が脱退し、5人で活動を継続。'08年に無期限活動休止を発表したが'13年に復活。
デビュー時の衝撃
鈴木 '78年のデビューから41周年を迎えたサザンオールスターズ。数々の名曲を振り返りながら、夏に聞きたいベストソングを決めようというのが今回のテーマです。まず思い浮かぶのは、なんといっても『勝手にシンドバッド』ですよね。
小路 あの曲を初めて聞いたのは、忘れもしない'78年8月31日、「ザ・ベストテン」のスポットライトのコーナーです。タンクトップとジョギングパンツの若者がノーイントロで、いきなり「ラーララーララー」と歌い始めた。
大げさではなくハンマーで頭を殴られたような衝撃でした。当時僕はミュージシャンを目指していましたが、「こいつらには絶対に敵わない」と打ちのめされました。
杉山 当時、3歳だった私は、その様子は知らないですが、地元の茅ヶ崎では町中でサザンの曲が流れていて物心ついた時にはファンになっていました。
特に『勝手にシンドバッド』はテンションが上がるので、試合前に聞く勝負曲。普通なら、言葉にメロディを乗せて曲を作るかと思いますが、この曲は歌詞よりもメロディを大切にしていますよね。だから、自然と体がリズムに乗る。
鈴木 番組で司会の黒柳徹子さんが「アーティストになりたいの?」と質問すると「いえ、目立ちたがり屋の芸人です」と答えるぐらいふざけていて、当時はコミックバンドとしてしか捉えられていなかった。その評価が一転したのが、『いとしのエリー』ですね。
杉山 イントロのコーラスだけで切なくてじんときます。ファンも招いた桑田さんと原坊(原由子)の披露宴で、「エリー」を「由子」に変えて歌ったというエピソードも素敵。
小路 まるで洋楽のスーパーアーティストが作ったラブバラードですよ。こんなに洗練された曲はそれまで日本になかった。なにしろ「エリー my love so sweet」ですから。
「胸さわぎの腰つき」と連呼していたのと同じ口が歌っているとは信じられませんでした(笑)。
鈴木 「泣かしたこともある」のところのコード進行はビートルズの『サムシング』をイメージさせるし、洋楽の影響もある。
ですが桑田佳祐は非常に多くの曲に触れて育ってきた音楽グルメ。日本の歌謡曲のエッセンスも強く感じるから、非常に耳馴染みがいい。