小島健輔が指摘「バーニーズ破綻の原因は『家賃』ではない」

立て直しは難しい
小島 健輔 プロフィール

マディソン街旗艦店の家賃は法外に安い

3000万ドルに固定資産税負担などを加えると実質家賃は4400万ドル(1ドル=108円換算で47億5200万円)以上になるが、マンハッタン一等地のメンズ館(1〜9F)/ウィメンズ館(B1〜9F)合わせて27万5000sqf(2万5575平米/7750坪)もの巨艦店舗にしては法外に安く、たったの月坪5万1000円でしかない。

大家は下層階は他の小売業者、上層階はホテルかオフィスに貸した方がもっと稼げるはずだ。

17年4月にNY五番街の旗艦店を撤退したラルフローレンは5万3000sqf(1493.6坪)で年間2500万ドル(月坪15万円強)を払っていたし、アバークロンビー&フィッチの銀座旗艦店は11フロア計2121平米(642.7坪)で年間14億4000万円(月坪18万6700円)も払っているから、バーニーズNYマディソン街旗艦店の家賃は倍近く値上げしても法外に安い。大家のアシュケナージ・アクイジション社はバーニーズ社を格別に優遇しているようだ。

その格別に安い家賃にも耐えられないマディソン街旗艦店はよほど売れていないということで、あの巨艦店舗にして年間6000万ドル(年坪83.6万円!)しか売れていないという証言もある。実際、バーゲン時期を除けば何時行っても閑散としている。

 

バーニーズ破綻の「深層」

マンハッタン一等地のマディソン街旗艦店が法外に安い家賃も負担になるほど売れていないのはファッションセンスと品揃えが時代ずれしているからだ。

バーニーズのピークはマディソン街旗艦店を開店した93年頃だが、米国のバブル期(ピークは84年)は日本より早くとっくに終わっており、バーニーズのイタリアブランドを軸としたバブリーな欧州モードは時代から浮き始めていた。そんな時点での大型旗艦店開設と多店化がいかに無謀であったか、96年の連邦破産法申請という結末を見れば明らかだ。