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米中経済戦争が、世界的な通貨戦争の引き金を引こうとしている

円高が日本経済を直撃する

ドナルド・トランプ米大統領が中国からの輸入に対する関税上乗せを明らかにしたことで、米中貿易戦争がエスカレートしている。この影響で、世界の金融市場に動揺が広がっている。

いまの局面で重要な点は、2つある。

第1は、制裁関税の対象として、アメリカが消費財に踏み込んだことだ。これによってアメリカ経済が被害を被ることは、当然予想される。そうしてでも中国を叩く必要があるという強い意志を、アメリカは示したことになる。

第2は、通貨戦争の様相が出てきたことだ。中国が人民元安を容認し、これを受けてアメリカが中国を為替操作国に指定した。これが世界的な通貨戦争に発展する可能性もある。そうなると、円高が進行する可能性があり、日本経済は大きな影響を受けるだろう。

 

エスカレートする米中貿易戦争

トランプ大統領は、アメリカが輸入する中国製品のうち約3000億ドル(約32兆円)に対して、9月1日から10%の関税を上乗せすると、8月1日にツイッターで明らかにした。
 
中国は、これに対する報復措置として、アメリカからの農産品の購入を一時停止した。

2018年に始まった米中貿易戦争によって、2015年5月初めまでの段階で、中国からの輸入500億ドルに25%、2000億ドルに10%の追加関税が課されていた。

アメリカは、今年の5月10日に、2000億ドルに対する制裁関税を10%から25%に引き上げた。これを受けて、世界の株式市場で株価が急落した。

6月末の米中首脳会談で第4弾の発動はいったん見送られたものの、中国側に譲歩の姿勢がみえないとして、今回の強硬策に打って出たのだ。

今回の引き上げがなされると、中国からの輸入のうち、2500億ドルに25%、3000億ドルに10%の追加関税がかかることになる。

なお、トランプ大統領は、3000億ドル分について、「段階的に引き上げる可能性がある。25%以上もあり得る」と述べた。

近い将来に米中が合意に至る可能性は、低下している。