法務省も困惑…相続は「早いもん勝ち」に変わっていた

相続法改正「最大の抜け穴」をご存知か
週刊現代 プロフィール

母親が亡くなり、長男の太郎さんと、次男の次郎さんが相続をするケースで考える。
生前、母親はよくこんなことを言っていた。

「次郎は18歳で家を飛び出してから、ほとんど帰ってこず、家のことも考えてくれなかった。だから、実家(評価額2000万円)は全部、太郎にあげたい」

 

母親は、この内容で遺言書を書いた。この遺言書通りに相続されると、次郎さんは最低限の遺産(遺留分)として、全財産の4分の1の500万円しかもらえない。だが、それでは納得がいかない。次郎さんの気持ちはこんなところだ。

「本来なら、法律で決められた取り分(法定相続分)として、遺産の2分の1を、弟の自分ももらってもおかしくないはずだ。こんな遺言書なんてなければいいのに」

それならば、遺言書を無視すればよい。

実は相続法の改正により、そんな荒業ができるようになってしまった。

まず次郎さんは母親の死後、時間をおかず、法定相続分であるところの実家の2分の1(1000万円相当)について、母親から自分に名義変更をする。

兄の太郎さんが遺言書を法務局に持っていき、「実家の権利を100%自分のものにする」という登記を行う前であれば、こんなことができてしまう。

Photo by iStock

そのうえ、次郎さんが実家の2分の1を自分の名義に変えたことは、太郎さんに知られることはない。次郎さん1人だけでできるのだ。

その後、次郎さんは不動産業者に自分の名前で登記された1000万円分の家の権利(共有持ち分)を売却すればよい。共有持ち分の価格は、市場価格の7割程度なので、次郎さんは約700万円を得られる。

先述したとおり、遺留分は500万円になので、早いもん勝ちで手続きすることで、200万円も得できる。

関連記事