家族の大切さとともに、
自立心を早い時期からやしなわれました

「パリで生まれて神戸で育ち、父の仕事の関係でフランスの田舎に住みました。それからルールを変えて、父とは絶対フランス語で話すことに決めたんです。それが転機で、そのときの学校生活がとにかく楽しくて。あのときの記憶が、今でも忘れられません。

例えば修学旅行や遠足にでかけるとき、こんなざっくばらんで大丈夫なのかと思うくらい、規律というのが無いから、日本と全然ちがうことにびっくりしました。お菓子をいくつまでとか細かい決めごとが一切なくて、もう好きなようにしなさいという感じでしたね。その自由さが私はすごく居心地よくて、日本のちゃんとしたところも好きなんですけど、フランス人らしい自由さを新鮮に感じました。自由さを尊重し、子どもの意思を親とか大人が見守っている。子どもの育て方、学校教育のちがいはここからなんだなと、修学旅行で感じました。このあたりに、フランスの原点を見た気がします」

またしても、おふたりのご結婚が吉と出ましたね。クリステルさんの体験型のフランス人観は、そのままシャープな国際感覚。規則でがんじがらめにすることで、子供の創意の芽を摘んでしまうことに気がつかないお受験ママに、クリステルさんはなりそうもありませんね。そして自由の裏に責任が潜んでいることも、彼女は早い時期に学びます。

「父がいつも嘆くのは、親が子離れすることと子どもが親離れする時期が、日本の場合、ちょっと遅すぎると。フランス人は、自立に対する意識がすごく強い。父の考えでは、フランス人というのは、自立ということについてすごくマチュアな(円熟した)国民だと昔からいってました」

そうそう、フランス人の自立には当然ですが自活も含まれます。自立には経済的な面もありますが、お金があっても考え方が自立していない人をフランス人はバカにする。皇后になられた雅子さまの国際感覚が話題になっているおりしも、政治家の奥さまになられたクリステルさんのご活躍が楽しみですね。

たとえ父親がフランス人でも、その地に暮らすと母語は暮らした国の言葉になる。それでもフランスに住んだらフランス語を話そうとしたというのは、努力があったのだと想像できる。そうしてコミュニケーションをした学校で、フランスならではの教育も体感したのだ Photo by Getty Images