代々木会館とその一画には、不動産業者が集結、死闘を繰り広げた

『天気の子』人気聖地の知られざる「地上げ攻防15年史」

業者が群がった都内有名案件だった

『天気の子』の聖地と代々木再開発物語

アニメ映画『君の名は。』を大ヒットさせた新海誠監督の次作、『天気の子』は、公開以来、3週連続で週末観客動員1位を記録、興行収入が59億円を突破した。

それに連れて、『君の名は。』と同じく、『天気の子』の舞台となった場所を訪れる「聖地巡礼」が活発だ。

その聖地のひとつが、JR山手線、中央・総武線代々木駅に隣接した代々木会館である。

 

陽菜が「晴れ女の力」を授かった廃ビルという設定だが、1964年、東京オリンピックの年に建設された「昭和」を色濃く残すビルは、「代々木の九龍城」とも呼ばれる怪しさに満ちている。

古い世代には、萩原健一の「オサム」と水谷豊の「アキラ」が、アウトローの探偵を演じた「傷だらけの天使」のエンジェルビルとして記憶に残る。オサムは、屋上のペントハウスに住んでいるという設定だった。

それだけ味のあるビルが、8月1日から解体作業に入っている。中国書店、ビリヤード、パチンコ、飲食店などが、古色蒼然とした看板とともに生き残っていたのは、権利関係の複雑さ故で、当たり前だが「昭和」をとどめるためではない。

解体作業に取り掛かったのは、その複雑さが解きほぐされ、地上げが完了したためで、これまでに約15年の歳月と、約40億円の投下資本が必要だった。初期から地上げに関わった不動産業者がいう。

「駅に隣接した一画で、ここを上げれば、隣接地を含め約550坪の一団の土地になる。やりがいはあったが、区分所有が42筆にも及び、容易じゃないことは想像できた。結局、私は、一部だけに関与して、最終エンドの業者に、今年、売却して終了。15年は、短くはないけど、そのややこしさを思えば、遅くもないよ」

この業者だけでなく、代々木会館とその一画には、「名うて」「凄腕」の不動産業者が集結、死闘を繰り広げた。聖地化を機に、代々木再開発物語を辿ってみたい。