石の美術館STONE PLAZA
# 芸術

隈研吾、安藤忠雄らがデザイン。いま、「リノベーション建築」が熱い!

歴史ある建物と現代の冴えたデザインの融合

洋館を突き刺すガラスの道

JR上野駅から歩いて10分。上野公園の豊かな森を抜けると、突如巨大な洋館が現れる。

壮麗な装いをまとったこの洋風建築の名前は、「国立国会図書館 国際子ども図書館」。

 

 建物正面は、格式高いルネサンス様式でまとめられ、力強い柱と緩やかなアーチによってリズムよく分節されている。威風堂々たるその佇まいからは、華やかなりし時代の息遣いが聞こえてくるようだ。

国際子ども図書館の正面外観 ©国立国会図書館ウェブサイト

 しかし、そんな端正で華麗な洋館の1階部分に、なんとガラスの通路が斜めに突き刺さっている。さらに、裏側に回ってみると、今度は建物背面がすっぽり巨大なガラス面で覆われている。

国際子ども図書館の背面外観 ©国土交通省関東地方整備局営繕部

 これは、一体どういうことなのだろうか。この建物の歴史を紐解くところから、その謎に迫りたい。

未完の帝国図書館

実はこの建物、明治に創建された帝国図書館を、平成に入って児童図書館としてリノベーションしたものなのである。1906年(明治39年)に竣工した帝国図書館は、当初、東洋一の規模を誇る壮大な国立図書館として構想された。

しかし、日露戦争後の逼迫した財政状況の下、実際に建設されたのは、計画全体の4分の1にすぎなかった。もし計画通りに完成していたら、どれほどのものだったか。想像すると驚嘆せずにはいられない。

そんな東洋一の意気込みは、実際の建物からひしひしと伝わってくる。繊細に彫り込まれたメダルの装飾、室内を彩る華麗な漆喰細工、精緻にはめ込まれた寄木細工など、建物の隅々まで手が凝らされ、見どころは尽きない。意匠・構造・内装、そのどれを取っても最高級の出来栄えである。

精緻に彫りこまれたメダリオン(メダル型の装飾)

とはいえ、いくらよくできた建物であっても、築百年近い洋館を現代の公共施設として使うのは、そう簡単ではない。当然、それ相応の工夫が必要となる。