レンタルなんもしない人「炎上は楽しい」「無名の34年はつらかった」

【対談】レンタルなんもしない人×東畑開人
現代ビジネス編集部 プロフィール

「レンタル」は中動態か?

レンタル:ぼくの「なんもしない」活動と、東畑さんの『居るのはつらいよ』の接点として、「中動態」という言葉が挙げられると思います。能動態でもなく、受動態でもなく、中動態だと。「する」と、「される」の間に、「なんもしない」があるんじゃないか。

「レンタル」って貸す側の動詞なのか、借りる側の動詞なのか、よくわからないところがあります。「ビデオをレンタルする」と言うときに、店がレンタルしているのか、客がレンタルしているのかわからない。

ぼくは最初、ぼくがレンタルされていると思っていたんです。でも「レンタル」の意味を調べると、「貸し出す」と書いてあった。そうすると混乱するところがある。だから、これが中動態ってことなのかもしれない。どちらが主体でもない。

 

東畑:確かに、「レンタルビデオ」って借りているのか、貸しているのか、わからないですね。そうした不思議な活動を、何十万人もフォローするくらい、皆が面白いと思っているわけですよね。どうしてそんなにうまくいっているのでしょう?

レンタル:その曖昧さのおかげで、うまくいっているのかもしれない。曖昧でどう解釈していいのかわからないので、それぞれ一家言ある。

アカデミアの人はケアの文脈で説明したくなるかもしれない、ビジネスならばサービスの文脈で、子育てが忙しい方だったら「なにやっているんだ」という怒りの文脈で、忙しく過ごしている人たちからは「なんもしないのはあり得ない」と。

いろんな方が、言いたいことを持っている。それはぼくが固定されていないからで、ぼく自身も固定されるのがきらいです。

東畑:アジールですね。反社会的だ。今後、レンタルさんはどうされるんですか。将来の夢について聞くのは、「ごくかんたんなうけこたえ」に含まれますか。先とかあるんでしょうか。

レンタル:先はわからないですね。ぼくは今まで、なにかしようとしたけど駄目だったことを繰り返してきたので、自分の意思に対する信頼がゼロなんです。自分がなにか企画しようとすると失敗するのは目に見えているので、いろんな人たちの都合に合わせて流れていきたいです。

東畑:そうか、自分が何をする、とかじゃないのか。

レンタル:周りがなんとかしてくれる期待はあります。それに、これしか残っていない状態から始めたので、他にやることがありません。選択肢が一個しかない。死ぬか、これをやるか、だったので。最悪でも死ぬだけの状態です。