この社会はガチすぎる…「レンタルなんもしない人」が求められる理由

【対談】レンタルなんもしない人×東畑開人
現代ビジネス編集部 プロフィール

東畑:「人を必要とする」ってふしぎなことですよね。どういうことなのだろう。「タンスが重いので、角を持ってください」と人が必要なのはわかりやすい。人を使わないとできないことは世の中にはたくさんある。

一方で、ぼくたちには一人で頑張って取り組まないといけないことも沢山あります。人を使うことと、自分で取り組むこととの間に、レンタルさんの活動がある。

居るのはつらいよ』でも、そのあわいの話をしています。ここは語りにくい。離婚届を出しに行くのに、一緒に来てほしい。わかる。わかるんだけど、それがいったい何なのかをどんな言葉で語っていいのかわからないし、どう説明していいのかわからない。

しかもレンタルさんの活動は、なにかを共有しているけれど、すごく他人感もあります。人間同士の濃い付き合いと、レンタルさんはちょっと違う。離婚届けは、新しい恋人や、親友とではなく、レンタルさんと持っていきたい。それってなんなんだろう。

レンタル:言われてみればそうですね。それは東畑さんの本にも書いてあった「遊びの感覚」なのかもしれません。

例えば、東京から大阪に引っ越す人から「ドラマや映画のように新幹線でお見送りしてほしい」と依頼を受けたことがあります。

身内や友達に頼んでしまうと、本当にしんみりしてしまう。ぼくのような、ふざけた存在である他人に頼むことで、少し遊びの要素が生まれて、それによって気持ちが楽になるのかな。家族や身内に頼んでしまうと、遊びではなく深刻になってしまう。

東畑:つまり演劇ですよね。依頼をしている時点から、すでに演劇が始まっている。

レンタル:確かに演劇ですね。依頼をすることで、依頼者の方が演技に入れる。ぼくが帽子をかぶり、「なんもしない人」を演じていることとも重なります。「演技」と言っちゃうとなんか恥ずかしい。「レンタルなんもしない人」というサービスを依頼したくらいだと落ち着く。やはり何事もガチにしたくない遊びの感覚があると思います。

ぼくは依頼をTwitterのDMから募集しており、引き受けるかどうかをその文面で決めています。

ぼくが依頼を受けたいと思う人は、文章が落ち着いていて、淡々としている人が多い。内容は切実だけど、ちょっと冷めている。でも依頼内容をTwitterでエンタメにされてもいいとも思っている人。ちょっと矛盾を抱えてますよね。

でも皆さん、切実でシリアスなものを、苦しい雰囲気のまま終わらせたくないと思っているんじゃないか。

東畑:依頼をする人は、ガチではないと。なるほど……だからぼくは、今日つらかったのかな。ガチだと思って来てしまったから……。

レンタル:……。

東畑:……。

(会場笑)

東畑:あぁ、またこうなってしまった。