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元経済ヤクザが解説「最新版・暴力版図」

アメリカの思惑が列島を揺らす
猫組長(菅原潮) プロフィール

「価値」を喪失した韓国

軍事費を削減しながら、影響力を維持しようとするアメリカの思惑にさらされている、もう一つの代表が韓国だ。表層的には、在韓米軍の軍事費拠出の問題となっている。

19年1月にアメリカ大統領トランプ氏が、「在韓米軍の駐留費用は(年間)35億ドル(約3850億円)だが、韓国は6億ドル(約660億円)しか出していない」とこぼしたことが報じられた。韓国側は「実際には、はるかに多い8億6000万ドル(約946億円)を支出している」と反論したが、35億ドルと比べれば「はるかに多い」は言い過ぎだと言えるだろう。

翌2月、米韓の間で、韓国側が年間10億ドル(約1100億円)を支出することで暫定合意した。ただしこの合意は1年限りというものだ。

7月23、24日には、ボルトン氏が訪韓し、防衛費分担金の増額を韓国政府に公式要求した。具体的な金額は発表されなかったものの、19年2月の合意の5倍にあたる50億ドル(約5400億円)の拠出を要求したことが報じられている。

ホルムズ海峡の例でも、アメリカが国益を貪欲に求める姿勢は明らかだろう。アメリカが韓国に対して、これまでとは打って変わって莫大な軍事費拠出を要求する理由もここにある。

 

アメリカにとっての韓国の「価値」を歴史的に整理しよう。

1945年8月9日、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して満州国に侵攻した。朝鮮半島の〝赤化〞を阻止したいアメリカ大統領ハリー・S・トルーマン氏は、38度線を境界線にして朝鮮半島の南北分割占領をソ連に提案し、ソ連がこれを受諾。同年8月15日、日本のポツダム宣言受諾により朝鮮半島は解放されたものの、分割統治は続き、48年に韓国と北朝鮮が建国された。

軍事的には、北側はソ連に加え49年に建国された中国が、韓国側はアメリカが、それぞれ支援する形となる。

そして50年1月、トルーマン政権の国務長官、ディーン・アチソンが、「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン-沖縄-日本-アリューシャン列島まで」という演説を行う。

アチソン演説は、名指した国や地域に対する軍事侵攻に対してアメリカは断固として反撃するとしながら、「それ以外の地域は責任を持たない」とした衝撃的なものだった。その後、「フィリピン-沖縄-日本-アリューシャン列島」を結ぶラインは、アメリカにとっての「不後退防衛線」=「アチソン・ライン」と呼ばれるようになる。

この演説を分析した北朝鮮側は、韓国を攻めてもアメリカの反撃はないと判断。演説から半年を経過した6月25日に、38度線を越えて侵攻した。

中ソの領土拡大の野望を見誤り、「アチソン・ライン」の失策に気が付いたアメリカは、北朝鮮の侵攻後、慌てて台湾に第7艦隊を派遣し台湾海峡の防衛任務に就かせた。朝鮮戦争は約2年後の53年7月27日に休戦となり、再び38度線を境に南北が分断することになった。

この朝鮮戦争を経て、アメリカは「フィリピン-沖縄-日本-アリューシャン列島」というオリジナルのアチソン・ラインを南側に押し上げて、「フィリピン-台湾-韓国-アリューシャン列島」という「新アチソン・ライン」を設定することになる。現在、韓国に米軍が駐留しているのは、こうした背景があるからだ。

ところが、2018年6月にシンガポールで、史上初の米朝首脳会談行われたことをきっかけに、米朝関係は急速に雪解けとなる。北朝鮮は、現在アメリカの貿易戦争の相手、中国と接している国だ。米朝間で安全保障条約が締結されれば、在韓米軍をそのまま北朝鮮に移動させることができる。韓国に米軍を置く必要性はなくなるばかりか、中国に対する強烈なプレッシャーにもなるだろう。

仮に米朝間が平和条約にたどり着けなかったとしても、極東には日本がある。その日本は黙っていても1899億円(2015年)もの「思いやり予算」を支払ってくれる。駐留米軍経費負担率は、韓国の40.0%に対して、実に74.5%(2002年)。しかも「武器を買ってくれ」と言えば、すぐに買ってくれるという、あまりにもできのよい弟分だ。

さて、北朝鮮との平和条約締結など絵空事と思う人も多いだろう。だが、これをもっともリアルな未来図として受け取っている国こそが、韓国に他ならない。