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元経済ヤクザが解説「最新版・暴力版図」

アメリカの思惑が列島を揺らす

7月26日に発売された拙著『金融ダークサイド:元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界』(講談社)が発売後たちまち重版となった。本書に通底するテーマは「暴力とマネー」の関係だが、刊行後にも世界は大きく動いている。

その一つが、日本のエネルギー政策に重大な影響を与える「ホルムズ海峡」を巡る緊張の高まりだ。もう一つが、隣国「韓国」を含めた朝鮮半島への価値転換だ。

いずれも「アメリカ」の思惑によるものだが、今回は本に書ききれなかった最新のマネーと暴力の版図を解説したい。

沸騰するホルムズ海峡

拙著は、日産元会長カルロス・ゴーン氏の事件を端緒に、「マネーロンダリング」の深奥をつまびらかにし、新次元の「マネー」の在り方について解説するほか、私自身の資金洗浄の手口を明かした挑戦的な内容となっている。

だが本書を貫く大きなテーマは「暴力とマネー」の関係だ。世界最強の暴力の保有者が、世界のマネーを支配する――アメリカの思惑によって世界は変わるのだから、ヘゲモニーの頂点に立つ者の思惑を正しく読み解くことこそが、現在のマネーの世界で生き残る最良の手段ということになるだろう。

 

本書執筆中に発生したのが、ホルムズ海峡を巡るアメリカとイランの攻防だ。経緯を整理しよう。

イランが極秘で行っていた核開発計画が露見したのは2002年のことだ。イランと「P5+1」(国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6ヵ国)が協議を続け、発覚から13年経った15年に核開発を国際社会の監視下に置くJCPOA(包括的共同行動計画)でようやく合意にこぎ着ける。

ところが2018年5月、アメリカがJCPOAから離脱した。背後にあるのはアメリカの中東政策の転換だ。

オバマ政権下ではサウジアラビアから距離を置く政策が採られていたが、2017年1月からのトランプ政権では、親サウジアラビア、親イスラエルへと一気に舵を切った。大統領のトランプ氏がサウジに対して「中東版NATO軍設立」を持ちかけ(17年5月)、イスラエルの首都をエルサレムと承認した(17年12月)ことなどがその証左だ。

トランプ氏はJCPOAを「史上最悪」と評価していたので、それが実行されたということだ。このことでイランに対する強力な経済制裁が復活することとなる。

ここで忘れてはならないのは、政治には善意ではなく、「儲かる誰か」が必ず存在するということだ。特にビジネスマン出身のトランプ氏は、かなりストレートにこれを具現化しようとしている。そういう意味ではわかりやすい大統領だと私は評価しているが。