オーストリアは日本よりも一歩、充実

まず、産休。日本では産休中の月単位の給付金はなく、保険料の免除や上記の一時金という形で経済支援がなされているが、オーストリアでは産休中は給与の100%が支給される。またその期間も日本が14週なのに対し、オーストリアは16週である。

育休に関しても、子供が満1歳になるまで給与の80%が給付されたり、日本の児童手当に相当する家族手当も、給与の額や子供の数や年齢にもよるが、子供一人当たり月額で(1ユーロ130円として)、2万円程度が支給される。

こうした、日本より一歩優れた出産・育児に関わる支援制度に加え、オーストリアでは基本、大学まで学費がかからない。教育費が少なくて済む分、子育てに関する経済的な不安も少ないと言える。

アメリカの支援はほぼ皆無。なのに…

対してアメリカでは、国からの出産・育児に関する経済的な支援がほぼ皆無である。

産休・育休に対応した制度として出産後12週までは休んでも契約は保証される(解雇されない)というものがあるが、経済的な支援はない。また保育施設等への支援体制も弱く、多くの共働き夫婦は月1000ドル(約10万円)以上支払ってシッターを雇うなど個人で対応している。

このような政府の対応の悪さに対し、独自の支援制度を設ける州や会社もあるが、基本的にアメリカの出産・育児関連の制度は日本やヨーロッパ諸国に比べ、整っていない。さらに、アメリカは大学の学費が高く、テレビでも学費を確保するための保険のCMが頻繁に流れるなど教育費の問題も深刻である。

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ここで一度まとめると、日本の出産・育児に関する制度は、欧米諸国に比べ突出して低いわけではなく、ヨーロッパ諸国には劣る点は多いが、アメリカに比べると遥かに充実していると言える。

つまり、単純に制度の差だけでは、なぜ日本では欧米諸国に比べ倍以上の割合の人が「子育てに厳しい」と感じてしまうのか説明がつかない。

一体何がこの差を生んでいるのか。私がその答えの一端を垣間見たと感じた出来事がある。