習近平vsトランプ、米中対立がいよいよ「通貨戦争化」しそうなワケ

人民元安は基本戦術である
唐鎌 大輔 プロフィール

米商務省の出方も注目

この相場変動を受けて、中国人民銀行(PBOC)は人民元相場に関するQ&Aを公表しているが、「米国の貿易主義ないし保護主義、とりわけ対中関税の影響を受けて人民元が対ドルで1ドル=7.0元を超える下落に至っている」との趣旨に言及している。

そればかりか、「当面は6.0台に戻ることはない」との見通しも示唆している(明らかに意思を持って為替水準に触れており、このような情報発信が為替操作国認定の決め手となった恐れもある)。

 

ちなみに、こうした値動きに至る気配がないわけではなかった。6月7日、ブルームバーグとのインタビューで易・中国人民銀行総裁は「特定の数字が他の数字よりも重要だとは思わない」と7.0元台への下落を容認するような姿勢を示唆している。

同じインタビューの中で易総裁は「貿易戦争と人民元の動きに関連が明らかにある」、「米国からの膨大な圧力によって最近は若干下げている」などと述べていたことから、米国の行動に応じて7.0台を容認するとの方針は元々あった可能性がある。

〔photo〕gettyimages

片や、こうした元安に対して米商務省も静観するのか定かではない。5月23日、商務省は政府の補助を受けて不当に安く輸入された製品に課す「補助金相殺関税」の計算手法を見直す方針を発表している。

この際、「どの程度の補助を受けているか」という論点が重要になるわけだが、当該国政府による通貨の低め誘導も考慮するとしている。これは事実上、「通貨安で追加関税を相殺」という対抗措置を無効化する動きであり、5月中にはっきりと下落していた人民元相場を意識した動きと考えられた。

今回はトランプ大統領のツイートからわずか2営業日後の出来事だけに、その因果関係を指差して、何らかの踏み込んだ決断をしてくる可能性が警戒される。米財務省によって為替操作国認定が下された以上、商務省からより制裁色が強い一手が出てきても不思議ではない。