第二次世界大戦の「記憶」は、国によってまったく違うという現実

「大東亜戦争」「抗日戦争」「非常事態」
週刊現代 プロフィール

第二次世界大戦は国によって違う

教授 これからクイズをします。第二次世界大戦はいつ始まりましたか。

スペンサー 1931年。満州事変の日です。

ニック 1939年9月1日。ナチスによるポーランド侵攻の日です。

教授 ほかには?

ニック 1937年。日本が中国と総力戦を始めた日。

ユカ 日本人は、第二次世界大戦はパールハーバーから始まったと考えていると思います。

 

教授 ではほとんどのアメリカ人はいつだと思っているでしょうか。

一同 パールハーバー!

教授 ロシア人はいつだと思っているでしょう。

ディラン ナチスとソ連の協定(独ソ不可侵条約)が破られた日(1941年6月22日)でしょうか。

教授 そうですね。ここで言えることは、どの立場に立つかによって開戦日は変わってくるということです。こうしたレベルでさえ、国民的かつ国際的な見方の両方を持つことは難しいのです。

では第二次世界大戦について異なる呼び方があるのを知っていますか?

ニック ロシアでは「大祖国戦争」。

スペンサー アジアでは「大東亜戦争」「十五年戦争」「太平洋戦争」「アジア太平洋戦争」と呼ばれています。

日本にとって「敗戦」とは?

教授 中国では「抗日戦争」と呼ばれています。'15年に習近平国家主席はこの名称に「世界の反ファシズム戦争」という言葉を付け加えました。

フィンランドでは「継続戦争」と呼ばれています。第一次ソ連・フィンランド戦争に続いて再開されたソ連との戦いだったからです。中立国でありながら反イギリスの立場が強かったアイルランドでは「非常事態」と呼んでいます。

これらは全て、国民の物語によって決まります。私はもともとの戦争のストーリーを「白黒物語」と呼んでいるのですが、これらはほとんど全てが戦時中か、もしくは終戦直後に作られたものです。

私がこれを白黒物語と呼ぶのは、加害者と被害者、もしくは英雄と悪者があまりにはっきりしているからです。そして、これらの物語には非常に力強いストーリーラインがあります。とてもシンプルで、分かりやすい筋書きです。

アメリカは、悪に対する「良い戦争」もしくは「正義の戦争」を戦った―西欧文明を破壊しようとするナチズムと、真珠湾攻撃という悪に対する正義の戦争を行ったというのは、アメリカでは揺るぎないストーリーラインです。

では、日本の筋書きとは何ですか?

ニック ヒロシマ?

スペンサー 敗北によって生まれた平和主義?

教授 それも一つの筋書きです。ですが、終戦直後に生まれた単純な筋書きがあったでしょう。それは、国民が、「自分たちの指導者のせいで被害者になった」というストーリーです。

ヒョンスー 白黒物語について、その日本バージョンについてですが、それが何なのか、靖国神社の隣にある遊就館を訪れるとよく分かります。英雄のような日本が、東南アジアを西欧による支配から解放したと。

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