元経済ヤクザが語る、ビットコインが「負け確定のゲーム」である理由

だが、暗号資産の可能性は無限大だ
猫組長(菅原潮) プロフィール

「暗号資産」が日本企業を救う可能性

「暗号資産」がその資金調達法の一つになるのではないか、と私は考えている。

「誰が使ったのか」や発行主体が何を担保にしているのかが明確ではないビットコインは、過去の取引履歴のデータとの整合性を取りながら取引の承認・確認を行う「マイニング」(mining)を必要とする。ビットコインはマイニングの「謝礼」として配布されていた。

今から10年ほど前、生まれて間もないビットコインに、感度の高いIT技術者が飛びついた。現在では莫大な電気代がかかることから、マイニングの専門工場が建設されているが、当初は個人が所有しているパソコンで細々とマイニングを続け、その見返りを受け取っていたのだ。

 

ギリシャ危機に連鎖して2013年にキプロスショックが発生した際、キプロスに口座を所有する富裕層が預金封鎖を逃れようと、ビットコインを使って資産逃避を行った。さらに16年には中国政府が外貨持ち出し規制を行い、中国人富裕層がビットコインで資産逃避を行った。

こうした経緯で需要が急速に高まり、2017年のビットコイン暴騰へと向かった。創成期にマイニングの「おまけ」としてビットコインを貰った人たちが、どれほど儲けたのかはわかるだろう。

2018年には、暗号通貨は誰でも発行できるということ、また、「ビットコインと同様に、ほかの暗号通貨もいずれ上がる」という思惑、「どうせ上がるなら、新規発行した安い段階で入手して高く売った方が儲かる」という投機欲が重なり、「ビットコインもどき」の暗号通貨を発行して資金調達を行うICOが流行した。

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ICOは株の世界で言うところの新規発行株と同じ仕組みだが、これにより世界全体で調達された資金は、この18年だけで2兆2638億円を超える。有名人を広告塔にした詐欺的な「コイン」が話題になったことを覚えている人も多いだろう。

相次ぐ国際的な規制によって、現在ではICOは下火になっている。だが貧しい国には、必ずと言っていいほど、投資先を探すごく少数の富裕層が存在する。そうした富裕層を相手に、仮想通貨を発行しICOをすることはできるはずだ。

何より日本の中小企業が持つ技術やスキルは「文化」と呼べるほど優れたものが多い。適切なビジネスプランと組み合わせて提案すれば、貧困国の富裕層は喜んで金を出すだろう。

「暗号資産」の根幹はブロックチェーン(分散型台帳)技術だ。この技術の特徴は、(1)改ざんが極めて困難で、(2)「ゼロ・ダウンタイム」(システムやサービスが停止しない)で(3)安価に運用することができるという点だ。したがって、24時間、365日、スマートフォンから送金手数料なしで資金を移動させることができる。

そもそも企業の海外進出は、手にしたマネーを母国に戻して初めて本当の意味で成立すると私は考えている。中国に進出した日本企業のように、規制で資金は持ち出せない、技術は盗まれる、有事の際には設備ごと接収される、では話にならない。

自社発行したICOは送金手数料ゼロで資金移動を行うことがきる。日本への送金ばかりか、さらなるグローバル展開にあたっても、強力な武器となるだろう。