かんぽ・ゆうちょ不正販売を生んだ、日本郵政の知られざる「闇」

ゆうちょ社外取締役として憂う

経営陣が“豹変”した

かんぽ生命の不適切な乗換販売を巡り、親会社・日本郵政の長門正貢社長は先週水曜日(7月31日)の記者会見で態度を一変させた。

前回6月24日の会見における「法令違反はなかった。非合法なことをやったという認識はない。『不適切』の定義によるが、反省はしている」という生温い釈明を事実上撤回して、「郵便局への信頼を大きく損ねたことで断腸の思い。深くおわび申し上げる。今回の事案については、大変重く受け止めている」と述べたのだ。一転して白旗を掲げたようなもので、徹底した調査と再発防止に全力を傾ける姿勢に転じたといえる。

7月31日の記者会見に臨む日本郵政・長門正貢社長ら/Photo by gettyimages

筆者の眼から見れば、全面降伏は当然のことで、むしろ、遅すぎたぐらいだ。というのも、実態を調べ始めた途端、事態がいかに深刻か浮き彫りになってきたからだ。日本郵政グループはこの7月31日の会見で、かんぽには過去5年間に、保険料を二重に徴収したり、無保険にするという形で、お客さまに不利益を与えた可能性のある販売が最大で18万3千件あり、その実態確認を急ぐこと、また過去5年間のすべての契約(約3000万件分)について顧客に書面を送って不利益が生じていないか確認することを公表するに至ったのである。

そして、この経営陣の豹変は、不適正営業以上に深刻なガバナンス(企業統治)欠如という問題が日本郵政グループに存在する可能性も浮き彫りにした。今週は、日本郵政グループを長年取材してきた経済ジャーナリストの立場から、このガバナンス問題の根深さを指摘したい。

 

本題に入る前に、郵便局でのかんぽの保険と、ゆうちょ銀行直営店の投資信託の不適正販売で、ご迷惑やご心配をかけた方々に、心からお詫びを申し上げます。筆者は、日本郵政グループのゆうちょ銀行の社外取締役を2014年6月から務めており、今回の不祥事で、ご迷惑やご心配をかけた方々に本当に申し訳ないと思っています。

会社法の規定などに従えば、社外取締役に過ぎない筆者には、会社の執行に関与する権限はなく、この案件について、会社の立場で対外的な説明を行うことはできません。守秘義務の制約があるのも事実です。

本稿は、ひとりの経済ジャーナリストとして書かせていただくものです。本来、憲法で言論の自由は保障されており、筆者には、新聞記者時代の1993年に旧郵政省記者クラブに在籍して以来、折に触れて、国営、公社、民営化と変遷してきたグループを取材してきた経緯もある。ゆうちょ銀行の社外取締役に就任する際にも、自由な取材・執筆・発信活動を放棄する気が無い事を伝えてある。

日本郵政グループは今、重要な節目に直面しているので、今週はあえて本コラムで取り上げさせていただくことにした。

 
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