「7pay廃止」セブン&アイ自身が気づいていない「本当の痛手」

結論ありきの謝罪会見で何を失ったか
西田 宗千佳 プロフィール

総務省は現在、統一規格のQRコード「JPQR」をつくり、バーコード決済の複雑さ回避を目指している。現時点では3事業者、最終的には7事業者が参加する事業となるが、この決済サービス事業は8月1日から、長野県で実証実験をスタートした。

長野県で実験をおこなう理由は、中小の事業者における活用を目指し、バーコード決済本来の価値を検証することを狙ってのものだ。

7payが見落としていた「成功の条件」

キャッシュレス化に関してはよく、クーポンやポイント還元が強調される。だが、それらはあくまでも「おまけ」的存在にすぎない。

一度や二度はポイント還元目当てで利用しても、実際に便利で、コストに見合うものでなければ、人は決して長く使わないからだ。

 

そして、利用する側だけでなく、導入する店舗側にとっても、便利で使いやすいものでなければ、「面倒な仕事が増えるだけ」で終わってしまう。多数の事業者が乱立し、店頭にいくつもの決済端末が並ぶのは、見た目にも悪いし、何より使いづらい。

いかに利便性を上げ、いかに安全性を高めるか。

この重要な2点は、サービスとアプリの設計・構築、そして日々の改善によってのみ成り立つ。そしてそのためには、テクノロジーの裏づけが必要不可欠であり、それ以上に、顧客の利用状況から学ぶ「顧客視点」が欠かせない。

QR決済に必要なのは「顧客視点」 Photo by gettyimages
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バーコード決済への参入にあたっては、そこまで真剣に考えたうえでなければ、最終的に生き残ることはできない。

セブン&アイが背負った「十字架」

日本のバーコード決済は、使い勝手の面でまだまだ問題を抱えているが、トップグループを形成する企業は、アプリとサービスの継続的進化に余念がない。その点については、評価しておきたい。

7payは、モバイル決済のなかでの自らの位置づけをどう考えていたのだろうか。そして、今後のセブン&アイのネットサービスに、前記のような「顧客視点」は期待できるのだろうか。

同社の発表からは、自社のサービスを守ることが最優先されていることだけが伝わり、顧客視点の姿勢は感じられなかった。それが可視化された今、今後のサービスに与える影響は、同社が思うよりはるかに深刻なのではないか。

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