自衛隊PKO派遣、日本が重ねてきた国際社会への「詐欺」を明かそう

そして会議場は凍りついた…
伊勢崎 賢治 プロフィール

安倍政権が最も”マシ”!?

最後に、このソウルの実務者会議での印象の限り、国連への最大拠出国の一つとしての日本のメンツへの配慮と自衛隊派遣に付随する日本の公的援助資金をめぐる国連の「政治」はともかく、少なくとも国連PKO局の「軍事」が、日本に部隊派遣を要請することは、日本の改憲を含む法整備が進展しない限り、ないであろう。

事実、PKOでの「駆け付け警護」など鳴り物入りで成立した安倍政権の安保法制であるが、南スーダン撤退以来、自衛隊の部隊派遣は、これも旧民主党政権から受け継いだジブチ駐留だけである。平成期において、現在の安倍政権は、国際法の違反度からすると、最も”マシ”な政権になっている。

新たな派遣は、今年4月に決定された「シナイ半島多国籍軍」MFO(Multinational Force and Observers)だが、部隊撤退後に南スーダンPKOに置いているのと同じ「司令部要員」の派遣である。部隊ではない。部隊ではないので、戦争犯罪や大規模な軍事過失は起こしにくいとの「政治」の判断であろう。さすがに、防衛省の「軍事」の知性は、現状の法体系の限界を、明確に意識して、部隊派遣のブレーキになっているようである。OB達は、相も変わらずであるが。

しかし、このMFO、駐留地のエジプトとイスラエルと「地位協定」を結んでおり、当然、自衛隊の司令部要員もこの中に入り、引き起こされるであろう事犯の訴追免除を受けている。「国連地位協定」でなくても、派遣国にとって訴追免除が「特権」ではなく「責任」であることは、同じである。日本が逆の立場の「日米地位協定」を考えれば、至極明確、自明である。

部隊でなくても、要員個人による過失は起きる。「国外犯処罰規定」のない日本は、ここでも「詐欺」を働いていることになる。

日本人よ。もう一度、「日米地位協定」で逆の立場に立って考えて欲しい。これは「詐欺」であると同時に、現地社会に対するトンデモナイ人権侵害であることを。

権力は必ず間違いを犯す。それを正すのが野党であり、社会のリベラルの知性であるが、日本では、それが存在しない。9条護憲に絡め取られているからだ。日本の病理である。

護憲か改憲か、ではなく、どう改憲するかで、与野党が対立する政局を、1日も早く形成しなければならない。もうこれ以上「政治」に「軍事」を蹂躙させないように。