南スーダンに派遣された自衛隊員〔PHOTO〕gettyimages

自衛隊PKO派遣、日本が重ねてきた国際社会への「詐欺」を明かそう

そして会議場は凍りついた…

僕が「日本政府代表」?

防衛省の統合幕僚学校で陸海空の精鋭たちを教え始めて10年以上経つ。

我が国が専守防衛に加え世界平和に資するため。そのための知識を貪欲に吸収しようと微動だにしない彼らの真摯な視線が、我が国の防衛政策や自衛隊のことを発言するたびに、いつも僕の脳裏をかすめる。

それがあって、ここで認めることを世間に発表することに、ずっと躊躇いがあった。

僕は、2018年12月にソウルに呼ばれた。韓国政府が国連平和維持活動(以下PKO)のハイレベルの実務者会議を主催するというのだ。

前国連事務総長をはじめ、すでに数々のPKOミッションのトップである国連事務総長特別代表、そしてPKO部隊の最高司令官のポストを獲得している韓国。部隊そのものや司令部要員の派遣実績でも、すでに日本を完全に上回る、名実ともにPKOのリード国である。

ニューヨークの国連本部には、PKO局(Department of Peacekeeping Operation)があり、さらにその中に各国の現役の将軍レベルの幹部で構成される軍事部(Office of Military Affair)がある。

今回の会議は、このPKO局軍事部門のトップ(ウルグアイ陸軍少将)が国連を代表し、それに対してPKOに兵力を提供する通称TCCs:Troop Contributing Countries(PKO兵力提供国)、先進国を含む20ヵ国の派兵を司る部局のトップ(日本でいうと内閣府国際平和協力本部事務局長のクラス)が向き合うものであった。

 

現在、新しい国連事務総長アントニオ・グテーレスは、PKOに大きな改革を推し進めてる。通称A4P:Action For Peacekeeping (PKOのための行動計画)と呼ばれるものだ。〔https://peacekeeping.un.org/en/action-for-peacekeeping-a4p

僕への依頼は「国連地位協定」のことを話してほしいというものであった。つまりPKO局軍事部と兵力提供国の代表全員に向けての一講演者の役割である。

しかし、会場で僕に用意されていた席は、なんと「日本政府代表」のものであった。この理由については後述する。

〔PHOTO〕筆者撮影

地位協定を結ばないPKOはない

国連地位協定。そう。PKOは必ず地位協定を、駐留先の現地政府と結ぶのだ。

たとえば、自衛隊も派遣された南スーダンでも、そこに派兵したすべての兵力提供国を代表して国連が南スーダン政府と地位協定を結んでいる。〔https://unmiss.unmissions.org/sites/default/files/unmiss_sofa_-_english_version_0.pdf

地位協定を結ばないPKOはない。これが日本人にはピンと来ない。〔拙稿参照:ゼロからわかるPKOの真実 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/47860

PKOは日本語では「国連平和維持活動」。OはOperationだから「作戦」。しかし何か「クラブ”活動”」の延長のようなホンワカとしたイメージ操作が日本では行われてきた。PKOは、国連が指揮権をとる多国籍軍を、国連の責任で紛争国に駐留させる「軍事”作戦”」である。

当然のことであるが、その駐留先に主権国家があるなら、国連は兵力提供国を代表して地位協定を締結する。